台湾師範大学(NTNU)は7月24日、体育・運動科学学科(Department of Physical Education and Sport Sciences)のTsung-Min Hung(ツォンミン・ホン)教授の率いる研究チームが、中強度の有酸素運動がADHD(注意欠如・多動性障害)の小児に効果的であることを客観的な指標に基づき確認したと発表した。この研究成果は、科学誌Scientific Reportsに掲載された。
一過性の有酸素運動が認知機能の向上に役立つことは、これまでの研究で示されていたが、そのような有益な効果がどの程度持続するかは確認されていなかった。
本研究では、ADHDと診断された8~12歳の小児24名を対象に被験者内デザインを実施し、運動介入条件又は対照条件後1時間の抑制制御、事象関連電位(event-related brain potential:ERP)及び心拍変動(heart rate variability: HRV)の各指数の変化を観察した。
抑制テストの結果は、有酸素運動を行うことで、運動の難易度に関係なく60分にわたり対照条件と比較して正確性が向上することを示していた。HRVに関しては、運動後30分間差異が観察された。これらの結果は、一過性の中強度の有酸素運動を数回行うことで、ADHD児の抑制制御が最大60分促進され、それが小児のパフォーマンスとERP測定値に反映されたことを示している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部