台湾の中医学の薬剤、米国のECに登場―ウイルス侵入への防御壁確立

台湾の陽明交通大学(NYCU)伝統医学研究所(Institute of Traditional Medicine:ITM)が開発した中国伝統医学(中医学)の薬剤が、米国の電子商取引(EC)プラットフォームであるアマゾン(Amazon)に正式に登録された。9月28日付発表。この米EC 市場への参入は、台湾のバイオ医薬品会社である順天堂製薬との提携を通じて実現した。

米国のECプラットフォームに登録された「淨冠方(Jing Guan Fang)」

今回登録されたのは「淨冠方(Jing Guan Fang、Immune Extra Prevention)」という薬剤で、ITMのシュー・チュンファ(Hsu Chung-hua)博士が2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の経験や臨床知見、そして中医学の原則に基づいて開発したもので、レンギョウ(forsythia suspensa)やコガネバナ(scutellaria baicalensis)など5種類の生薬が配合されている。新型コロナ感染症のピーク時に、ワクチンのアジュバント(免疫補助剤)として、また、免疫保護のために用いられた実績がある。

シュー博士は、「SARSから新型コロナに至るまでの臨床経験により、この薬剤がウイルスの侵入に対する防御壁を確立し、ウイルスによる喉の痛みや咳、頭痛などの症状を緩和することが示されている」と述べた。

伝統医学研究所(ITM)の研究チーム
(出典:いずれもNYCU)

当初は伝統的な煎じ薬の形で一般に提供されていたが、生薬成分の品質管理の必要性と、より科学的で標準化された製剤にしたいとの考えから、順天堂製薬はこれをカプセルに変えた。これによって、携帯に便利になり、米国市場の消費習慣にも合致するようになっている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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