コロナ変異体への新たな抗体を発見 台湾

台湾の中央研究院(Academia Sinica)は、生物医学研究所(Institute of Biomedical Sciences)のミーファ・タオ(Mi-Hua Tao)博士とイーシェン・ワン(I-Hsuan Wang)博士の研究チームが、幅広い新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス変異体に対する阻害効果を示す抗体を発見したと発表した。10月16日付。この研究成果は、Molecular Therapyに掲載された。

ポストコロナの時代では、さまざまなCOVID-19ウイルス変異体や新しいコロナウイルスの大流行を防ぐために、多様な変異体に対応する持続的な抗ウイルス薬の開発が非常に重要となっている。

タオ博士らの研究チームは、COVID-19ウイルスが主要な細胞受容体としてhACE2を利用することに基づき、hACE2上のウイルスのスパイクタンパク質結合部位と高い親和性を示すモノクローナル抗体ch2H2を発見した。この抗体は、hACE2の生物学的機能に影響を与えることなく、前臨床(in vivo)中和試験においてさまざまなCOVID-19ウイルス変異体に対して強力な阻害効果を示した。アデノ随伴ウイルス(AAV)送達を使った動物実験では、一度の注射でマウスに持続的かつ高レベルのch2H2抗体が確認された。

ワクチン効果が低下したオミクロン変異株BA.5に対する予防的投与では、AAV/ch2H2によってウイルス量が有意に減少し、肺の病的変化を緩和した。これらの知見は、AAV送達によるhACE2阻害抗体が将来、広範なウイルスに効果を発揮する抗ウイルス薬開発の有望な手段となる可能性を示している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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