TSMCと共同で極薄半導体技術を開発 台湾・陽明交通大学

台湾の陽明交通大学(NYCU)工学科のダーシュン・リャン(Der-Hsien Lien)ジュニアチェア教授率いる研究チームが、半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)と共同で極薄半導体技術を開発した。10月17日付発表。この研究成果はNature Communicationsに掲載された。

極薄半導体技術(ultra-thin layer semiconductor technology)の開発で連携

半導体構成品の小型化が進む中、2次元・準2次元の薄型半導体材料の研究が盛んになっている。しかし、材料の大きさがドープされる原子の大きさと同じかそれ以下になっているため、材料のキャリア濃度の変更によって超薄型トランジスタの閾値電圧(VT)を調整することは、非常に困難な課題となっている。

研究チームは、紫外線照射と酸素アニールを組み合わせた光熱併用の方法を導入することで、超薄型酸化インジウム(In2O3)トランジスタにおいて、広範囲かつ大面積のVT変調を実現することに成功した。この方法では、正と負の両方の閾値電圧の調整が可能で、その操作を元に戻すこともできる。

陽明交通大学の研究者ら
(出典:いずれもNYCU)

VTを制御することによって、研究チームは、デプレッション負荷型インバータと多段ロジックを実現し、低消費電力回路設計と非フォンノイマン型コンピューティング・アプリケーションにおけるその可能性を実証した。さらに、ウエーハースケールの閾値電圧調節を達成することによって、この方法の実用的な適用性も示した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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