台湾の陽明交通大学(NYCU)は11月6日、規制緩和によって学校が医療機器の認可を申請できるようになったことを受け、同大で開発された人工知能(AI)支援の脳腫瘍検出システムと等速性測定システムの2種類の医療機器が台湾衛生福利部の正式な認可を受けたと発表した。
等速性測定システム
新たに開発された脳腫瘍検出システムは、聴神経腫瘍、髄膜腫、脳転移という3つの主要な脳腫瘍について、磁気共鳴画像法(MRI)のスキャン画像を自動的に解釈し、注釈を付けることができる。複数の種類の脳腫瘍を自動的に検出し、注釈を付けることができる高度医療ソフトウェアとして、台湾で初めての事例となる。
AI脳腫瘍検出技術の開発を主導したユーテ・ウー(Yu-Te Wu)教授によれば、従来は放射線の治療前に、医師が大量の画像データを使って腫瘍の大きさや位置、浮腫の存在といった病理学的な特徴を評価する必要があった。今回の開発では、20万枚以上の2D画像でAIシステムに学習させることで、MRI画像の方向や解像度、腫瘍の種類、大きさのばらつきといった課題を克服したことで、AIが正確に脳腫瘍を解釈できるようになった。
AI支援の脳腫瘍検出システムにより画像読影のコストが大幅に削減される
(出典:いずれも陽明交通大学)
等速性測定システムは、口唇筋力のリハビリが必要な子供や高齢者向けに設計されており、唇の筋力トレーニングに効果的な方法を提供する。
これら2種類の医療機器が正式に認可されたことは、医療機器の商業化に向けた重要な一歩となる。規制緩和前は、検査や登録を申請できるのは企業に限られていたが、規制緩和によって大学は研究開発に携わるだけでなく医療機器メーカーとしても活動することが可能となった。
陽明交通大学は今年4月、台湾の食品薬物管理署(FDA)の品質管理システム(QMS)を通じて3Dプリントされた下顎プレートの承認も受けており、QMS認可とクラスI・II医療機器認可の両方を取得した初の大学となった。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部