台湾師範大学(NTNU)は、地球科学科(Department of Earth Science)のチャオロン・ウー(Chau-ron Wu)教授率いるチームが、オフシーズンのスーパー台風の発生に太陽活動が関わっていることを発見した。11月10日付発表。この研究成果は、npj Climate and Atmospheric Scienceに掲載された。
この研究は、ウー教授のチームと米カリフォルニア大学アーバイン校のジンイ・ユー(Jin-yi Yu)教授率いるチームが共同で行ったもので、1945年から2018年までの北太平洋西部におけるオフシーズンのスーパー台風402個の追跡データを収集した。
研究では、シーズンオフの台風を引き起こす、以下の3つの強化条件が検証された。
第1の条件としてウー教授が挙げたのは、太陽周期である。11年ごとに太陽の磁極の磁性が変わり、地球がより大きな運動量を得ることで、対流圏界面が温められる。その結果、ハドレー循環が生じ、北東貿易風が弱まるという。
第2に、地球温暖化などの大気の状況により亜熱帯と熱帯の結び付きが強まっており、それが太陽周期と台風発生の関係を強めているとウー教授は述べた。
第3に、海洋と大気の相互作用によって北東太平洋が温められ、その温かさが太平洋中部に到達することで、ウォーカー循環が弱まり、深海循環が東に移動する。また、ウー教授によれば、このような相互作用によって垂直のウインドシアが弱まることで、オフシーズンの台風が形成されやすくなるという。オフシーズンでは、台風は東寄りに形成され、動きもより遅いため、スーパー台風が形成される確率が高くなる。
同教授はさらに、今後2年間は太陽活動が活発な時期に入ることから、スーパー台風の発生確率が高くなると指摘し、警戒を怠らないことが必要だと述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック