台湾の中央研究院(Academia Sinica)は、細胞個体生物学研究所(Institute of Cellular and Organismic Biology)のチェンフ・カオ(Cheng-Fu Kao)博士の率いる研究チームが、心臓の成長過程において「RNF20」と呼ばれるタンパク質が重要な役割を果たしていることを解明したと発表した。11月27日付。この研究成果は、Cell Reportsに掲載された。
成長過程にある心臓は、建築途中の家のようなものであり、心筋細胞を勤勉な大工に例えることができる。これらの大工の作業の指針となる設計図は長年にわたり、科学者の考察の対象となってきた。
カオ博士の研究チームは、生物医学研究所(Institute of Biomedical Sciences)のヤオミン・チャン(Yao-Ming Chang)博士、シェンチャン・チェン(Chien-Chang Chen)博士、ユーティン・イェン(Yu-Ting Yen)博士との共同研究において、先進的なゲノム解析ツールを用いて、RNF20タンパク質がどのように心筋細胞の成熟を正確に指示しているかを追跡した。その結果、RNF20は、エピジェネティック制御の設計図を持つ建築家のような役割を果たし、DNAそのものを変化させることなく、遺伝子のオンオフを微妙に切り替えていることが明らかになった。
今回の研究は、心臓の発生におけるエピジェネティック制御因子としてのRNF20の不可欠な役割を確認しただけでなく、心臓病の治療に新たな道を開くものとなる。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部