TSMC製チップの利用で加齢黄斑変性症の再生治療を効率化 台湾

台湾の陽明交通大学(NYCU)は、加齢黄斑変性症(AMD)の治療のために、台北栄民総医院(Taipei Veterans General Hospital)の研究チームと共同で実施している再生医療プロジェクトについて公表した。プロジェクトでは、ファウンドリー(半導体受託生産会社)世界首位の台湾積体電路製造(TSMC)製チップを利用することで、治療の効率化を図っている。

台北栄民総医院と陽明交通大学の共同チーム
(© CommonWealth Magazine)

加齢黄斑変性症の治療では、大量の細胞を培養する必要があるが、細胞の分化プロセスを通じて、質の低い細胞を徐々に除外していき、最終的に3~5%の質の高い細胞株のみを残す必要があった。この除外プロセスには、手作業による膨大な選別作業が必要で、これらの細胞を患者の目に移植するまで1年以上かかる可能性もある。

陽明交通大学医学研究科(Medical Research Department)のシーファ・チョウ(Shih-Hwa Chiou)教授らが率いるプロジェクトでは、TSMCが製造したiPSC生体検査用チップを利用することで、培養皿をリアルタイムでモニタリングできるようになり、観察プロセスが簡素化された。さらに、チップに細胞を置くだけで、質の高い細胞の形態情報がコンピューターに入力され、ビッグデータ分析と人工知能(AI)によって、適切な細胞株を選別することが可能になった。このアプローチにより、人手とコストを減らせるだけでなく必要な時間も短縮できる。

TSMCが製造したチップ
(出典:いずれもNYCU)

現在、第1世代チップの開発を完了しており、プラットフォームは2024年夏に本格稼働する予定。

(2023年12月7日付発表)

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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