台湾の中央研究院(Academia Sinica)は1月12日、同院の研究チームが、植物における移動性mRNAの細胞内輸送を支える機構を明らかにしたと発表した。この研究成果は、Nature Plantsに掲載された。
植物の移動性mRNAは、原形質連絡(プラスモデスム)と呼ばれる細胞間の孔の間を通り、維管束組織内の師部を長距離移動していくことで、植物の発達を組織的に調節する。しかし、移動性mRNAがどのように原形質連絡を標的として細胞間移動を開始するのかは、解明されていない。
植物・微生物学研究所(Institute of Plant and Microbial Biology)のティエンシン・ユー(Tien-Shin Yu)博士率いる研究チームは、エンドソームにおけるRNA結合タンパク質群ROCが、移動性mRNAをエンドソーム表面に特異的に橋渡しすることを突き止めた。オルガネラに結合した移動性mRNA複合体はエンドソームとともに、細胞骨格ネットワークを通って原形質連絡へと移動する。
この研究により、移動性mRNAの細胞間輸送にヒッチハイキング戦略が用いられていることが明らかになった。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部