台湾の陽明交通大学(NYCU)は3月14日、チーホン・リン(Chi-Hung Lin)学長らが3月上旬に訪米した折、スタンフォード大学とカリフォルニア大学バークレー校で学ぶ台湾人学生に、卒業後は帰国して台湾の半導体産業に貢献するよう呼びかけたことを報告した。
(出典:NYCU)
台湾は技術産業における人材不足に直面しているが、同時に国内大学の教員の高齢化にも悩まされている。NYCUの場合、教員の58%以上が50歳以上である。高等教育人材の縮小が続くことは、高等教育と産業界の競争力に影響を与える可能性がある。
こうした状況を背景に、リン学長らNYCU関係者は、NYCU北カリフォルニア同窓会の設立総会に出席するために渡米した際、現地で学ぶ40人以上の台湾人留学生と懇談した。その中で、現在台湾政府が推進している「半導体イノベーション計画」を説明し、卒業後は台湾に戻って国内のテクノロジーと高等教育に新たな活力を注入して欲しいとの期待を示した。
リン学長は、留学後台湾に戻る学生の数が2000年以降徐々に減少する一方、1900年代に海外で学び台湾に戻った学者が、後を引き継ぐ次世代がいないまま退職年齢を迎えていると指摘し、「今が台湾にとって正念場であり、台湾の優位性を継続させるために卒業生の帰国を促したい」と述べた。
台湾政府もまた、若手研究者育成プログラム、海外のハイレベル人材を台湾でのインターンシップに呼び寄せるパイロットプロジェクト、海外の学者を台湾に誘致することを目的としたプログラムなどを実施している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部