米国の新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security:CNAS)は4月3日、AUKUS(米英豪3国間安全保障パートナーシップ)の現状と将来をめぐり、米国務副長官カート・キャンベル(Kurt Campbell)氏とCNASの最高経営責任者(CEO)リチャード・フォンテーン(Richard Fontaine)氏との間で行われた公開対談の内容を報告した。
2024年9月に3周年を迎えるAUKUSは、米政権のインド太平洋戦略の要として浮上している。オーストラリアへの原子力潜水艦の配備を「第1の柱」とするAUKUSは2023年3月、豪海軍に原子力潜水艦を供与する計画の概要を示す「最適経路(Optimal Pathway)」を発表した。
対談では、この第1の柱が主に取り上げられた。キャンベル氏は、造船所などの生産設備とオーストラリア国内における人材育成への多額の投資の必要性を強調し、原子力潜水艦建造の遅れなどの課題を指摘する一方、これまでの米豪間の緊密な協力と英国からの支援を高く評価した。
また、量子コンピューティングや極超音速兵器、サイバー能力といった先端技術分野の協力に関する「第2の柱」について、キャンベル氏は、いくつかの重要な分野で進展があったと語った。さらに、日本やカナダ、ニュージーランドなど他の国々が参加に関心を示していることを歓迎する姿勢を示した。
特に日本に関して、キャンベル氏は日米同盟がインド太平洋における米国の関与の要になることを強調し、日本のような緊密なパートナーと多くの情報や技術を共有することが米国の利益になると述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部