台湾の陽明交通大学(NYCU)は4月30日、台中栄民総医院(TCVGH)と共同で、人工知能(AI)を利用してさまざまな医療事務を効率化し、医療スタッフの負担を軽減する「ヘルスケアGPT」を開発したと発表した。
カルテ自動作成のデモンストレーション
このAIツールは、カルテの作成からデータベースへのアクセス、患者からのメールへの回答作成まで、さまざまな医療関連の事務作業を最適化し、手作業を迅速に削減する。これにより、事務作業に費やされる時間が毎月6万分以上削減されると推定される。
20人以上の専門家が1年以上を費やして開発したこのツールには、高度な自然言語技術を利用して、わずか15秒で自動的にカルテのサマリーを作成する機能が搭載されている。これにより医師は、面倒な事務作業に煩わされることがなくなり、時間と労力を本来の業務に振り向けられるようになる。
他にもこのツールには、一般からのさまざまな問い合わせに対応する「コールセンターAI」相談システムや、苦情メールの処理機能、院内の会議記録を素早く検索して決定事項を整理する機能など、医療の周辺業務を効率化する機能も搭載されている。専門的な医療分野に特化して開発されており、オンサイトのプライベートクラウド環境でもスムーズに動作する。そのため、データ漏洩やプライバシー侵害の心配もないという。
(出典:いずれもNYCU)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部