台湾の中央研究院(Academia Sinica)は7月11日、同院の研究チームがコンピューター設計と組み換えタンパク質技術を駆使して、がん治療のための新たなタンパク質を開発したと発表した。この研究成果は、Advanced Scienceに掲載された。
生物医学研究所(Institute of Biomedical Sciences)のモウ・ユン(Mou Yun)博士とジャック・フー(Jack Hu)博士が開発した新しいがん治療用タンパク質「STYMIE」は、強化されたスーパー抗原、コンピューター設計によるサイトカイン、腫瘍標的抗体で構成され、腫瘍微小環境内で細胞毒性作用を持つTリンパ球とナチュラルキラー(NK)細胞の両方を活性化するように設計されている。
研究では、STYMIEの全身投与により、大腸がん、乳がん、肺がんが有意に抑制されることが示された。さらに、スーパー抗原を介したT細胞活性化の分子メカニズムを解明し、CD2とCD58が主要なリガンドであることを明確にした。
この研究は、免疫細胞エンゲージャーの設計における革新的な原理を示すものであり、がん治療に新たな道を開くことが期待される。
(出典:Academia Sinica)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部