インドとタイでのSNSコンテンツへの政府の強制的影響力を分析 米シンクタンク

米国シンクタンク「カーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)」のインドの政策シンクタンク、カーネギー・インディア(Carnegie India)は7月31日、インドとタイの政府が、ソーシャルメディアプラットフォームの政治的コンテンツのモデレーション(投稿監視)ポリシーを自らの意向に沿うように形成するためにどのように強制的影響力を行使しているかを分析する論文を公開した。

ソーシャルメディアプラットフォームが政治的コンテンツをどのように監視・削除すべきか、また誰が最終的な決定権を持つのかについては、各国政府と大手テック企業の意見が分かれている。プラットフォームガバナンスとコンテンツモデレーションに関する従来の研究の多くは、米国や西欧のような比較的リベラルな文脈から得られた知見に基づいている。

今回公開された論文では、程度に差はあるが非自由主義的な環境であるインドとタイを対象に、机上調査と主要なステークホルダーとのインタビューを通じて、法律、経済、政治の3方面からコンテンツモデレーションに対する政府の強制的影響力の行使を分析した。

分析の結果、インド政府は、同国の巨大な市場を背景に、また、テクノロジープラットフォームに対する強い権限を政府に与える規制措置を通じ、ソーシャルメディアのコンテンツに対し、タイ政府よりも大きな影響力を行使できる立場にあることが明らかになった。MetaやGoogleなどのビッグテックは、巨大市場であるインドでのビジネスのため、政府との関係を良好に保つことに努める傾向がある。

同論文は最後に、市民社会団体とユーザーはプラットフォームに圧力をかけることで民主的な議論の保護に一役買うことができる一方、プラットフォームも団結することで政府からの強要に対抗することが可能になると提言している。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

上へ戻る