アジア太平洋経済協力(APEC)は8月19日、ペルー・リマで開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)政策パートナーシップで、エルニーニョおよびラニーニャ現象、総称して「エルニーニョ・南方振動(ENSO)」に焦点を当てた議論を行ったことを発表した。
ENSOは、中央および東部熱帯太平洋の水温変化に関連する気候パターンであり、全APEC加盟国に影響を及ぼす海洋において繰り返し発生している。この現象は、世界中の天候に大きな影響を与え、特にアジア太平洋地域において降雨、嵐のパターン、気温に影響を及ぼしている。
2024年8月12~13日にかけてリマで開催されたAPEC気候シンポジウムでは、ENSOがアジア太平洋地域に与える深刻な影響が強調され、極端な気象現象が経済や生活に混乱をもたらしている現状が議論された。また、気候研究、応用、政策決定に関する専門家が一堂に会し、APEC加盟国の科学的および技術的能力を強化するための協力が模索された。また、気候変動と世界的な陸海の温暖化に対処するため、予測能力の向上や気候科学の政策への統合を強化する行動が改めて確認された。
ペルーのラケル・ヒリアノバ・ソト(Raquel Hilianova Soto)環境副大臣は、これらの影響を理解し緩和することの緊急性を強調し、自然災害による被害総額が1980年代の年間520億ドルから、過去10年間では年間2070億ドル、そして2020年代の最初の3年間では年間2320億ドルに増加していることを指摘した。
同副大臣は、「科学はこれらの現象を予測する可能性に近づく手助けをし、それに対応するための道を早急に切り開くものと信じています。知識、研究、イノベーション、技術は、脆弱性を減らし、災害リスクを管理・削減し、適応力を高めるために不可欠です」と述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部