台湾の陽明交通大学(NYCU)は10月21日、同校の研究チームがクレジットカードやパスポート等のセキュリティを大幅に強化する新たなメタサーフェス・インターフェース技術を開発したと発表した。この研究成果は、学術誌Nano Lettersにカバーストーリーとして掲載された。
測定装置の前で概略図について議論するヤオウェイ・ファン(Yao-Wei Huang)助教授(右)
クレジットカード、あるいは日本の新紙幣に使われているホログラムのような従来の偽造防止技術は、主にグレーティング構造による光の分散を利用しているため、色の多様性が制限され、色分散が最適化されないという課題があった。
電子顕微鏡画像から、メタサーフェスサンプルの一部の構造形態が明らかになった
この課題に対処するため、フォトニクス学科(Department of Photonics)のヤオウェイ・ファン(Yao-Wei Huang)助教授率いる研究チームは、独自のトポロジー最適化を用いた逆設計手法により、1362という前例のない高い品質係数を持つメタサーフェスを設計した。実験の結果、効率性が15倍向上し、実験効率は59%に達した。
ファン助教授は、新しく開発された狭帯域メタサーフェス技術は、4つの狭い波長帯域で動作し、非常に高い純度で鮮やかな赤、黄、シアン、青の色を表示すると説明した。このレベルの色純度と、見る角度に応じた演色性は、偽造防止ラベルへの応用に大きな可能性を秘めているという。
メタサーフェスサンプルは赤、黄、シアン、青の色を表示
(出典:いずれもNYCU)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部