米国の新アメリカ安全保障センター(Center for a New American Security:CNAS)は11月8日、量子技術における米国のリードが急速に狭まっており、トランプ次期政権は発足後の100日間で、量子分野における米国の競争力を再び高めるために迅速に行動すべきと提言する記事を公開した。
量子技術は、従来のテクノロジーをはるかに凌駕するスピード、精度、機能性を持つ分野であり、さまざまな産業で革新的な進歩をもたらす可能性を秘めている。その潜在的な可能性は幅広い分野にわたり、量子技術のリーダーシップは国家全体の競争力を高める。量子技術で後れを取れば、エネルギーから医薬品、材料設計、農業に至るまで、重要な分野で後れを取ることになりかねない。量子技術の先行者利益は大きく、量子技術の実用化と普及に最初に成功した国は、公開鍵暗号の解読や高度な監視活動など、従来技術では対抗が難しい能力を手にすることができる。
その将来への影響から、量子技術は米中間の技術競争において重要な戦場となっているが、量子通信分野ではすでに中国は米国を上回る成果を挙げており、他の量子分野でも急速な進展を見せている。
同記事は最後に、長年にわたり経済および国家安全保障の基盤となってきた米国の量子技術の優位性が危機に瀕しており、重大な転換点を迎えていると警鐘を鳴らしている。そして、トランプ次期大統領は、この傾向を逆転させるまたとないチャンスを手にしており、量子技術を優先課題として行動すべきと提言している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部