台湾の中央研究院(Academia Sinica)は、2024年の台湾経済を総合的に振り返るとともに2025年の見通しを発表し、米国の一国主義の台頭と中国の景気回復の難しさが、台湾の経済の動向に大きな影響を与えるとの見解を示した。
(出典:Academia Sinica)
2024年の台湾経済は、新興技術への旺盛な需要の恩恵を受け、輸出と投資が伸びた。その結果、2024年第1~3四半期の実質GDP成長率は5.19%に達した。2025年の展望として、米国と中国をめぐる不確実性はあるものの、電子製品に対する需要の復活や高速コンピューティングと人工知能(AI)の普及、台湾の貿易政策の調整などにより、投資は勢いを持続する見込みで、経済成長率は3.10%と予測される。
国内消費に関しては、2024年は、賃金上昇と上昇相場が追い風となって飲食・宿泊・国内外旅行の需要が堅調であり、第1~3四半期の実質個人消費の伸びは3.08%となった。一方2025年は、賃上げが個人消費を下支えすると予想されるものの、全体として実質個人消費の伸びは鈍化し、2.02%となる見込みである。
また、2024年1月~11月の物価の年間上昇率は2%を下回ったものの、サービス価格は前年同期比で2.47%上昇した。通年で見ると、消費者物価指数(CPI)は前年比プラス2.19%、生産者物価指数(PPI)はプラス1.42%となる見込みである。2025年もインフレ圧力は持続する見通しで、CPIは2.02%、PPIは1.40%の伸びが予想される。
最後に、トランプ大統領の就任に伴い2025年の世界経済は不確実性が高まると指摘し、懸念事項として米国の強力な保護貿易主義政策、主要国の対応、米国の輸入関税の急激な引き上げによる潜在的インフレなどを挙げた上で、台湾はこうした課題をチャンスに変える努力が必要とした。
(2024年12月23日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部