世界初の超高速4D顕微鏡を開発、脳神経の働きを解明 台湾

台湾の国家科学及技術委員会(NSTC)は、同委員会の台湾脳技術革新応用プロジェクトの支援を受けた国立台湾大学(NTU)と国立清華大学(NTHU)の研究者らのチームが、最先端の人工知能(AI)と組み合わせることで脳画像の鮮明さと鮮明度を10倍も向上させた世界初の超高速4D顕微鏡の開発に成功したと発表した。この研究成果は、学術誌Advance Scienceに掲載された。

NTU物理学科のシーウェイ・チュ(Shi-Wei Chu)教授らの研究チームが開発した4D顕微鏡は、従来の顕微鏡よりも数千倍高速で、目まぐるしく変化する神経活動をリアルタイムで捉えることができる。AIの強力な計算能力と組み合わせることで、画像のコントラストは10倍高まった。これにより、もとは不鮮明だった神経信号が見えるようになり、速度、解像度、画像範囲といった従来の顕微鏡の限界を克服することができた。

この顕微鏡を使って生きたマウスの脳内を観察したところ、運動を制御する神経細胞が、GPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)の並列構造に似た形で分布していることが判明した。隣接する神経ネットワークが受信する信号が類似していても、細胞体への信号伝達は異なる結果をもたらす。

この研究成果は、脳の機能的演算のメカニズムに光を当てるだけでなく、脳の創発的特性についての理解を深めることでAI開発にも新たな道を開き、AIと神経科学との相乗効果につながる可能性を示している。

(2024年12月24日付発表)
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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