米国のシンクタンク「カーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)」は1月13日、米トランプ政権の発足を前に、東南アジア諸国が米国との関係をどのように捉え、新政権に対し何を望むかについて、主要5カ国の専門家の分析を取りまとめた記事を公開した。
記事の作成にあたり、カーネギーのアジアプログラムは、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの専門家に、「あなたの国は、米新政権に何を望むか」という質問に小論文形式で回答するよう求めた。専門家の見解は、2024年11月の米大統領選挙前に収集されたため、それぞれの国の関心事に焦点が当てられている。各専門家の回答の要点は以下の通りである。
- インドネシア:米国が東南アジアのニーズに真摯に耳を傾け、共通の利益に基づき二国間パートナーシップを強化することを望んでいる。特に、中国に対する貿易・技術障壁は、結果的にインドネシアのような国を中国陣営に押しやる可能性がある。
- マレーシア:経済、教育、防衛分野での米国との関係が深く、新政権移行後も現在の協力関係を継続することが重要な優先事項となる。トランプ第2次政権で再び貿易黒字削減を迫られる可能性が懸念される。
- フィリピン:マルコス・ジュニア政権の下、米国との同盟関係の再強化を進めている。新政権発足後の米国の外交政策の変化にかかわらず、国家安全保障の維持、経済安全保障の推進、在外フィリピン人の保護が引き続き主要な関心事項となる。
- タイ:2023年まで続いた軍事政権下で米国との関係が停滞し、その間に中国の影響力が拡大した。一方、経済面では、米企業からの大規模投資が歓迎されており、マイクロソフト(Microsoft)やグーグル(Google)、エヌビディア(NVIDIA)による最近の投資は両国関係の強化につながる好機となっている。
- ベトナム:近年、米国との関係が著しく発展し、2023年には包括的戦略的パートナーシップに格上げされた。この流れを維持することを望んでおり、デジタル化や半導体産業に加え、人工知能(AI)など新興分野での協力強化を期待している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部