変換効率が31%を超えるタンデム型太陽電池を開発 台湾・中央研究院

台湾の中央研究院(Academia Sinica)は1月20日、同院と明志科技大学(MCUT)、国立成功大学(NCKU)、国立清華大学(NTHU)の研究者らが共同で、光から電気への変換効率が31%を超える次世代太陽電池を開発したと発表した。着手から2年足らずで達成されたこのマイルストーンは、市販されている最新の太陽電池よりも30%以上の改善となる。

中央研究院のネットゼロ技術オフィスと次世代太陽電池共同研究プロジェクトチーム
(出典:Academia Sinica)

台湾は、日照量は豊富だが利用可能な土地が限られているため、変換効率を高めて単位面積あたりの発電量を増やすことが、太陽光発電の拡大にとって重要な戦略となる。現在市販されているシリコン系太陽電池の変換効率は一般に22~24%程度で、30%を超えることが難しいため、多接合(タンデム)型設計がカギとなる。

こうした課題に対処しようと、中央研究院は内外の専門家を結集した研究チームを結成し、ペロブスカイト層を使ってシリコンでは吸収できない波長を吸収することで全体的な変換効率を高めるタンデム型太陽電池の開発に取り組んできた。層間技術の課題を解決することにより、界面損失を最小限に抑えながら、シリコンセル上にペロブスカイト膜を積層することに成功し、31.5%という記録的な変換効率を持つ小面積の2端子デバイスを開発した。

研究チームは今後、さらに製造プロセスを最適化し、デバイスサイズを拡大して、大量生産に適した製造方法の開発を目指すとしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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