CO2を効率的にメタンに転換する触媒を開発 台湾・陽明交通大学

台湾の陽明交通大学(NYCU)は2月26日、応用化学科(Department of Applied Chemistry)のスンフ・フン(Sung-Fu Hung)助教授率いる国際研究チームが、二酸化炭素(CO2)を効率的にメタンに変換できる世界初の「トリアゾール有機分子触媒(triazole organic molecular catalyst)」を開発したと発表した。この研究成果は、学術誌Nature Energyに掲載された。

スンフ・フン(Sung-Fu Hung)助教授と研究チームのメンバーら
(出典:NYCU)

CO2を天然ガスの主成分であるメタンに効率的に転換できれば、天然ガスの供給源となる可能性がある上、カーボンリサイクリングを通じてネットゼロ排出に貢献できる。しかし、フン助教授によれば、従来のネガティブカーボン技術の大半は、高コストの金属触媒に依存しており、大規模な応用の可能性が限られている。こうした中、低コストで材料が入手しやすい有機分子触媒が近年、注目を集めているが、その触媒効率と安定性の向上が大きな技術的課題となっている。

この課題に対処するため、研究チームは、香港中文大学およびニュージーランドのオークランド大学と共同で、CO2転換効率と動作の安定性を大幅に向上させるトリアゾール有機分子を設計した。研究の結果、この触媒は、10アンペアの電流の膜電極接合体(MEA)内で安定的に動作することが確認され、1時間あたり23.0ミリモル(mmol)のメタン生成率と52±4%の転換率を達成できることが実証された。

フン助教授は、「この技術が2050年のネットゼロ排出目標の達成に向けた課題に対処し、カーボンリサイクリング技術の世界的発展につながることを期待しています」と述べた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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