米国のシンクタンク「カーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)」は3月3日、米国とその同盟国による地政学的リスクの少ないクリーンエネルギーサプライチェーン構築に向けた進捗評価と戦略的投資分野を分析したテクニカルペーパーを公表した。
同ペーパーでは、「中国を除いた経路目標(ex-China pathway target)」という新たな指標を導入することで、12のクリーンエネルギー技術それぞれについて中国以外の世界が2035年までにネットゼロを達成するために必要な生産能力目標を明らかにし、その進捗状況を評価している。
この分析では、12のクリーンエネルギー技術をサプライチェーンの成熟度に応じて3つのグループに分類している。第1のグループは、既に成熟した大規模なサプライチェーンを持つ太陽光、風力、バッテリー、第2のグループは、大規模なサプライチェーンが台頭しつつある電解槽、ヒートポンプ、持続可能な航空燃料(SAF)、直接大気回収(DAC)および二酸化炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)、第3のグループは、既存のサプライチェーンを利用できるものの転換が必要な鉄鋼・アルミニウム、代替燃料船舶、アンモニア、地熱、原子力である。
分析を通じ、それぞれのサプライチェーンの課題も明らかになった。たとえば、太陽光発電とバッテリーに関しては、最終組立のためのプロジェクトは数多くあるものの、上流の生産能力が大きく不足している。一方、鉄鋼・アルミニウム、代替燃料船舶、DAC、CCUSについては、市場創出が課題であり、需要を確保するための政策支援が必要である。
同ペーパーは、戦略的投資の最優先分野として、太陽光発電用の太陽電池、ウエハー、ポリシリコン、風力タービンと電気自動車用の希土類磁石、バッテリー負極材、電解槽の生産拡大を挙げている。また、米国主導のグローバルインフラ投資パートナーシップ(PGI)などの国際的な枠組みを通じて、各国が協調して戦略的投資を進めることの重要性も強調している。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部