炭素を排出しないエネルギー技術の推進を議論 APEC

アジア太平洋経済協力(APEC)は3月5日、APECエネルギー作業部会が韓国の慶州で政策対話を開催し、カーボン・フリー・エネルギー(CFE)技術の導入と拡大が地域のエネルギー安全保障と環境リスクの低減に不可欠であることを強調した。

エネルギー需要の増加と化石燃料依存の課題に対応するため、APEC各国はクリーンな発電技術の推進を加速させている。政策対話には政策立案者、研究者、産業界の専門家が参加し、原子力発電、水素・アンモニア燃料、炭素回収・貯蔵、先進エネルギー貯蔵システムといったCFE技術の活用が議論された。

アジア太平洋エネルギー研究センター所長の入江一友博士が示したデータから、APEC各国では、2010~2022年の間に最終エネルギー消費に占める自然エネルギーの割合が75.6%増加し、発電分野では63.4%の伸びを示していることがわかった。しかし、発電による二酸化炭素(CO2)排出量は増加を続け、2022年時点では、CO2排出を伴う発電量が排出しない電源の約2倍となった。この現状から、低炭素なエネルギーミックスの重要性が浮き彫りになった。

韓国産業通商資源部のイークノ・ジョー(Eekno Jo)エネルギー政策局長は、「世界的な温室効果ガス削減には多様なアプローチがあるが、エネルギー部門におけるクリーン電力の強化は中心的な課題である。炭素を排出しない技術の導入と拡大を進める必要があります」と強調した。

政策対話では、CFE技術の統合に関する技術的・経済的課題も議論された。特に、風力発電や太陽光発電の容量係数が低いこと、送電網の信頼性への影響が懸念される中で、安定供給を確保するための資金調達メカニズムや政策措置が重要視された。韓国エネルギー経済研究所のシム・ソンヒ(Sunghee Shim)副所長は、「安定した電力供給を確保しながらカーボンニュートラル目標を達成するには、CFE技術を組み合わせたエネルギーミックス戦略が不可欠です」と指摘した。

本会合は、APEC各国が温室効果ガスの削減とエネルギー安全保障の強化に向けた重要なマイルストーンとなった。データ分析と的を絞った政策討議により、今後の取り組みにおける明確な指針となる。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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