(出典:NYCU)
台湾の陽明交通大学(NYCU)は3月11日、電子・電気工学科(Department of Electronics and Electrical Engineering)のポール・C.-P.・チャオ(Paul C.-P. Chao)教授率いる研究チームが、ユーザーの行動と環境温度に基づいてディスプレイの輝度劣化を動的に補正し、最適なディスプレイ性能を確保する世界初のAIモデルを開発したと発表した。この研究成果は、学術誌IEEE Transactions on Industrial Informaticsに掲載された。
チャオ教授によれば、OLED(有機発光ダイオード)の輝度劣化は、業界で広く認識されている技術的問題である。ほとんどのメーカーは、出荷前にバーンインテストを実施し、平均データに基づいて一律の補正を適用している。しかし、製品の個体差やユーザーの使用習慣の違いにより、このような画一的なアプローチでは、全ての消費者のニーズを満たすことはできない。
この課題に対処するため、チャオ教授のチームは、2年を費やして革新的な補正システムの開発に取り組んだ。研究では、ディスプレイの内部温度分布を正確に推定するモデルを構築し、OLEDの輝度減衰に関するデータを収集するとともに、環境温度情報を取り入れた。このAI補正技術により、赤・青・緑の三原色の輝度を約90%まで回復できることが確認された。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部