米国のスタンフォード大学フリーマン・スポグリ国際研究所(FSI)は4月9日、ショレンスタイン・アジア太平洋研究センター(APARC)の次期所長に筒井 清輝氏を任命したと発表した。就任は2025年9月1日付け。
筒井氏はグローバリゼーション、人権、社会運動、政治社会学を研究対象とし、現在は同センターの副所長を務めている。さらに、現在、APARCのアンリ・H・トモエ・タカハシ寄附講座の教授や、日本プログラム・ディレクター、東南アジアプログラム共同ディレクターも兼任しており、さらには、大学連合日本研究センターの事務局長や人権・国際正義センターの共同所長も務めている。
現所長のシン・ジウク(Gi-Wook Shin)教授は2005年より20年にわたり同センターを率いており、今回の交代について「筒井氏が卓越したリーダーになると確信しています」とコメントし、今後の筒井氏への協力や支援体制の構築について言及した。
筒井氏は、2020年のAPARC着任以降、研究・政策活動の両面で顕著な成果を挙げてきた。著書「人権と国家 理念の力と国際政治の現実」は第44回サントリー学芸賞など複数の賞を受賞したほか、American Political Science Reviewなどの学術誌にも論文を発表。また、日米の政策課題に関する世論調査「スタンフォード・ジャパン・バロメーター」も立ち上げている。
資金調達やイベント企画にも積極的で、2022年には教員支援と日本プログラム拡充のためのジャパンチェア基金を設立。2023年には岸田首相と韓国の尹大統領による首脳会談を含む国際会議も主導した。
筒井氏の研究分野は政治社会学、比較社会学、社会運動、人権、グローバリゼーション、日本社会であり、京都大学およびスタンフォード大学で社会学の学位を取得。著書には「Rights Make Might」(2018)、共編著には「Corporate Social Responsibility in a Globalizing World」(2015)、「The Courteous Power」(2021)がある。
FSI所長のマイケル・マクフォール(Michael McFaul)氏は筒井氏のこれまでの活躍を評価し「彼の学識と国際協力への献身により、センターは新たな段階へと導かれるでしょう」と期待を述べた。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部