台湾の陽明交通大学(NYCU)は4月14日、同大学のサステナブル・ピアエディケーション・センターと環境工学研究所に所属するジェンジュン・カオ(Jehng-Jung Kao)教授が長年取り組んできたDIYGreen廃棄物ゼロ循環型都市農業システム(DIYGreen)に関する開発の背景やアイデアを紹介した。
ジェンジュン・カオ(Jehng-Jung Kao)教授
Photo from ZDunemployed studio
この循環型都市農業システムは、従来の土葺き屋上緑化の防水性や夜間の放熱性の問題を克服するだけでなく、国連の持続可能な目標(SDGs)である飢餓をゼロに(SDG2)、つくる責任つかう責任(SDG12)、気候変動に具体的な対策を(SDG13)にも合致する。
DIYGreenでは、さまざまな植物がブロック状に配置された四角い鉢やフレームで栽培されている。同教授によれば、これは一見すると普通のプラスチックの籠のように見えるが、素材や構造、排水性、通気性、土壌保持性など、あらゆるコンポーネントを検討し、21回の改良を経てシステムを完成させ、現在10年以上安定して稼動している。
NYCU屋上のDIYGreenシステム
Photo from ZDunemployed studio (出典:いずれもNYCU)
DIYGreenは、従来の点滴灌漑よりも節水ができるよう設計された毛細管式マイクロ灌漑方式を採用している。このシステムの高床式デザインは、植物が屋根に接触するのを防ぎ、リサイクルのペットボトルに水を貯めることで屋根からの染み出しのリスクを軽減する。ペットボトルとペットボトルの間に形成される空気層は、断熱や放熱効果だけでなく、夜間の温度を調整し、植物の生育に必要な空間を確保する。
さらに、同教授は食品廃棄物の処理は環境保護における重要な課題であると考え、ニワトリやミミズ、アブ科の幼虫を活用した有機肥料を作り、それをDIYGreenで利用し、廃棄物ゼロサイクルを促進する。このリサイクルモデルの中心的な考えは、資源を最大限に活用し、環境廃棄物を最小限に抑えることである。
同教授は、DIYGreenによる植栽の楽しさをより多くの人々に体験して欲しいと呼びかけ、台湾の持続可能な発展に対する人々の意識を高め、環境意識が家庭や学校、企業に届くことを願っている。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部