アジアの子供の便秘有病率と関連要因を調査 台湾師範大学

台湾師範大学(NTNU)は4月25日、研究者らがアジアの子供の便秘の有病率とその関連要因を調査した研究結果を発表したことを伝えた。研究成果は学術誌eClinical Medicineに掲載された。

NTNU栄養科学課程のガン・ティ・キム・グエン(Ngan Thi Kim Nguyen)助教授は、アジアの小児における便秘の有病率を調査し、その結果を発表した。研究によると、アジア全体の小児便秘の有病率は約12%であり、世界平均の29%を大幅に下回っている。しかし、東アジア地域では14.1%、南アジア地域では6.9%と、地域によって差が見られた。特に台湾の学齢期の子供における便秘有病率は32.2%と、他のアジア地域を大きく上回っている。

この研究は、インパクトファクター15.1を持つ学術誌eClinical Medicineにて発表され、研究の重要性を示している。同助教授は、便秘の背景には食事や生活習慣の影響があるとし、アジアと欧米では食文化や栄養状態が異なるため、欧米データをそのまま適用するのは適切ではないと指摘している。

研究の動機について、同助教授は、自身の姪が便秘に苦しんでいた経験を挙げた。浣腸や食事療法を試みたが改善せず、姪がトイレを怖がるまでになったという体験が、研究への強い動機となった。2年以上のデータ収集と分析を経て、3000件以上の論文をスクリーニングし、50件の研究を精査し、論文の完成にはさらに2年の歳月を要した。

研究結果から、1~12歳の子供の便秘有病率が1歳未満の幼児に比べて高いことが判明した。また、心理的ストレスを抱える子供の便秘有病率が22.6%と高く、便秘とメンタルヘルスが相互に影響し合う可能性が示唆された。同助教授は「メンタルヘルスの問題が便秘を引き起こし、学業成績に悪影響を及ぼす可能性があります」と述べた。

今後、便秘と不眠症、肥満、腸内細菌叢、心理的ストレスとの関連を調査する予定であり、本研究はアジアの小児に特化した診断基準の確立につながるとしている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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