フェブキソスタットがCKD患者の腎機能改善の可能性 台湾・陽明交通大学

台湾の陽明交通大学(NYCU)は4月28日、台湾の桃園総合病院(TYGH)との共同研究において、フェブキソスタットが 動物モデルの腎機能を改善し、血管再生を促進する二重の効果を持つことを発見したと発表した。研究成果は学術誌Biomedicine & Pharmacotherapyに掲載された。

Photo credit: Getty Images (出典:NYCU)

慢性腎臓病(CKD)患者は、尿毒素の蓄積によって酸化ストレスと炎症が増加し、その結果、心血管疾患リスクが高まる。今回研究チームは、従来から高尿酸血症の治療に用いられているフェブキソスタットが、腎機能を改善する可能性を検証した。

本研究は、TYGH泌尿器科のチー・フン・チアン(Chih-Hung Chiang)教授と、NYCU薬理研究所のティン・ティン・チャン(Ting-Ting Chang)准教授が共同で主導した。チアン教授は「CKD患者は心血管系合併症のリスクが著しく高いことが知られていますが、血液中の尿毒素蓄積による酸化ストレスと炎症がその要因です。フェブキソスタットがこれらを抑制し、腎機能を改善できる可能性を示しました」と語った。

研究チームは、酸化ストレスと炎症を抑制することで、CKDに伴う血管合併症の改善を目指した。動物実験では、フェブキソスタットが腎機能を維持し、さらに創傷治癒を早め、血管再生を促進する作用が確認された。これにより、CKD患者の腎保護および血管新生効果が期待されるが、研究者らは「臨床試験を通じて、人における心血管合併症改善効果を確認する必要があります」と強調した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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