アジア太平洋経済協力(APEC)は5月8日、韓国の済州島で4日間の人材養成作業部会を開始し、人工知能(AI)の影響、高齢化、教育と雇用のミスマッチなど、域内労働市場が直面する課題について議論を行った。
韓国教育省のオ・ソクファン(Seok-Hwan Oh)次官は、AI時代に即した教育改革の必要性を訴え、AI搭載のデジタル教科書導入など韓国の取り組みを紹介した。韓国雇用労働省のクォン・チャンジュン(Chang-june Kwon)次官は、生涯学習支援や柔軟な労働制度、女性と高齢者の就労促進など韓国が推進している政策改革の概要を説明した。また、プラットフォームワーカーやフリーランスといった非正規雇用の労働者保護の強化についても言及した。
会合にはAPEC加盟21カ国・地域の代表が参加し、今後開催される教育と労働力開発に関する2つの閣僚級会議への準備を進めた。今週のセッションでは、障害者の包摂、デジタルスキル、地域政策協調、そして新興職種への若い世代の参加促進について焦点が当てられた。
APECのエドゥアルド・ペドロサ(Eduardo Pedrosa) 事務局長は、APECが長年取り組んできた人材育成や、デジタルリテラシー促進、インクルーシブ雇用、未来志向の教育政策といったプロジェクトを例に挙げ、「共有課題を共有の進歩へと転換するためには、より強力なステークホルダーの関与とオープンな対話が必要です」と述べた。また今回の会合において韓国は、将来世代の支援に重点を置き、教育格差、若者の雇用、デジタル移行に対処する政策に投資する新たな地域基金の設立を提案した。
本会合の成果は、今週末に予定されるAPEC人材開発大臣会合および教育大臣会合に反映される。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部