国際連携強化で半導体供給網の安定化を呼びかけ 台湾ITRI

台湾の工業技術研究院(ITRI)は5月23日、台北で「グローバル半導体サプライチェーン・パートナーシップ・フォーラム」を開催し、イノベーション、安全保障、回復力、繁栄を柱に、民主主義国間の連携強化による供給網の安定化を呼びかけた。

台北で開催された「グローバル半導体サプライチェーン・パートナーシップ・フォーラム」ではイノベーション、安全保障、回復力、繁栄に焦点が当てられた
(出典:ITRI)

フォーラムは、地政学的リスクや供給網再編に直面する中、民主主義諸国の協調を促す目的で開催された。台湾の外国貿易事務所代表を含む700名超が出席し、補完性や技術連携の重要性が議論された。

台湾の頼 清徳(Lai Ching-te)総統は、各国が強みを持ち寄り、強靭なサプライチェーンを共に築く必要性を強調し、政府はAI時代に対応するため、税制優遇やスーパーコンピューターの整備などを進めていると述べた。経済部の郭 智輝(Jyh-Huei Kuo)部長は、台湾が世界の半導体エコシステムにおいて重要な役割を果たしているとし、投資促進や人材育成を進める方針を示した。ITRIのエドウィン・リウ(Edwin Liu)所長は「半導体は戦略資産であり、相互依存する供給網が必要です。ITRIは透明性やサイバーセキュリティの向上に努めます」と語った。

海外からは、米国在台湾協会(ATI)のジェレミー・コーンフォース(Jeremy Cornforth)副所長は、米台の半導体協力の歴史をふまえ、双方向の投資拡大や供給網の回復力強化への協働を重視すると述べた。公益財団法人日本台湾交流協会台北事務所長の片山 和之氏は、経済安全保障とビジネス成功を両立させるには、日本・欧州の材料や装置、米国の設計、台湾の製造を統合する包括的な国際連携が不可欠だと指摘した。自民党の半導体戦略推進議員連盟の甘利 明名誉会長は、日台協力が設計から製造に至る供給網の起点として、同盟国間の連携強化につながると述べ、フォーラムは国際協調の意義をあらためて浮き彫りにした。

そのほか、欧州経済貿易局や英国、オランダの代表者も登壇し、台湾を信頼できる戦略的パートナーと位置づけた上で、半導体およびAIの供給網の多国間協力や、持続可能で信頼性のある体制構築の必要性を訴えた。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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