次世代半導体製造に向けたグリーンレーザー加工技術を開発 台湾

台湾の国家科学技術委員会(NSTC)は6月4日、台湾の清華大学(NTHU)の研究チームが次世代半導体製造に向けたグリーンレーザー加工技術の開発に成功したと発表した。

本技術は、常温・常圧で作動する新しいレーザー蒸着およびパターニング技術である。工程時間と製造の複雑さを大幅に削減でき、材料コストとエネルギー消費も抑えつつ、高い設計柔軟性とシステム統合性を兼ね備えている。3D半導体部品、フレキシブルオプトエレクトロニクスデバイス、シリコンフォトニクスといった高付加価値製品への応用が期待されている。

このプロジェクトは、NTHUに加え、台湾大学と台湾の国立計測研究センターが連携し、レーザー加工、人工知能(AI)、プラズマ化学、オプトメカトロニクスなどの先端技術を統合して実施された。高反応性のイオン性前駆体液とレーザーエネルギーを用いることで、金属、半導体、透明導電性酸化物などを高精度かつ単一工程で3Dパターニングすることが可能となった。異なる材料の堆積にも対応し、異種機能材料の一体製造を実現している。

生成されるマイクロパターンは、既存技術と同等以上の性能を有し、使用される溶媒や還元剤は環境に配慮したものが選ばれている。また、研究チームはこの加工技術に対応したデジタルツイン型スマート製造プラットフォームを構築し、マルチフィジックスモデリングや生成AI、リアルタイム光学診断を組み合わせて製造中の即時解析・制御を可能にした。さらに、自動光学検査システムとの連携により、回路やデバイスの修復応用も視野に入れている。

本技術は、NSTCのFuture Tech Awardを受賞しており、欠陥ゼロの精密製造を目指すとともに、電子機器・光学機器・半導体分野におけるインテリジェントかつサステナブルな製造の実現に貢献すると期待されている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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