AI学習環境構築でIBMと提携、 実践的人材育成を目指す 台湾・陽明交通大学

台湾の陽明交通大学(NYCU)は6月5日、米国のIBM社との提携により、エンタープライズグレードの人工知能(AI)学習環境を構築し、学生のキャリア競争力を高める取り組みを発表した。

Photo credit: Shutterstock (出典:NYCU)

NYCU電気・コンピュータ工学部は、2025年度よりIBMのAIプラットフォーム「watsonx.ai」および学習基盤「SkillsBuild」をカリキュラムに統合する。watsonxはAIガバナンスやデータ準備、基盤モデルのカスタマイズ機能を備えた包括的なAI開発環境であり、授業やプロジェクト学習に活用される。この連携は、IBMが推進する「AI in Academia Program」の一環として実施され、台湾の大学に国際的な技術資源と業界知見を導入することで、実践的な人材育成を目指す。

watsonxは生成AIと機械学習ツールを組み合わせたモジュール型の操作環境を備えており、学生はエンドツーエンドの開発体験を通じてAIアーキテクチャや応用手法を習得できる。また、製造業、医療、金融分野における実用例の紹介を目的に、IBMの技術者がゲスト講師として講義を行う予定である。教室外の学びとしては、SkillsBuildにより1000件以上のオンライン講座にアクセス可能となり、AIやクラウド、量子コンピューティングなどの技術と、プロジェクト管理やプレゼンテーションなどのソフトスキルが身につけられる。修了者にはIBM認定のデジタル資格が授与される。

さらに、大学とIBMはセミナーやキャリアイベント、メンタリングを通じて産業界との接点を提供し、優秀な学生にはインターンシップや採用の機会も開かれる。同学部のワン・リーチュン(Li-Chun Wang)教授は「IBM社との連携により、産業界と密接に結びついた教育環境が整備され、学生が学部段階から実践的なAIスキルを習得できることは大きな利点です」と語った。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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