台湾の陽明交通大学(NYCU)は7月7日、日本の立命館アジア太平洋大学(APU)と、異文化に対応できる技術・経営人材の育成を目的とした戦略的提携を締結したと発表した。

(出典:NYCU)
台湾の半導体産業が日米などへ展開を進める中で、現地の文化や宗教的価値観への適応力が経営課題として顕在化している。NYCUとAPUの提携は、そうした課題に対応できる国際的人材を教育の場から育成しようとする取り組みである。
NYCUのリン・チーホン(Chi-Hung Lin)学長は「産業の国際化が進む中、真の競争力は技術力だけでなく、異文化理解にもあります」と語った。
国際半導体産業学院(ICST)のツェン・ユアンチェー(Yuan-Chieh Tseng)副学院長は、米国アリゾナ州のTSMC工場における文化的摩擦の事例に触れ、「技術だけでなく、現地の価値観や教育を尊重した人材育成が必要です」と述べている。
APUは、90カ国以上から学生が集まる国際大学として知られ、バイリンガル教育や多文化共生を掲げる。米山 宏学長は「日本国内でも半導体分野の人材不足が深刻化しており、異文化対応力を持つ技術人材の育成が急務です」と連携の意義を語った。
今後は、教員交流や学生参加型の授業を通じて、台湾の産学連携モデルをもとにした教育プログラムを共同で開発する方針である。ツェン副学院長は「これは単なる知識の輸出ではなく、互いの文化を理解し、橋をかける試みです」と強調した。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部