第1回ロケット台湾カップ大学部門で初優勝 台湾・陽明交通大学

台湾の陽明交通大学(NYCU)は7月30日、台湾の聯合大学(NUU)との合同チームが、第1回ロケット台湾カップ(2025)の大学部門で優勝したと発表した。

大会は7月25~27日に台湾の屏東県徐海地区で開催され、56チーム・638人の学生が参加した。技術文書審査や複数回のエンジニアリングチェックを経て、決勝に進出したのは15チームだった。NYCUは本選に1チーム、デモンストレーションに2チームを派遣し、いずれも高度な航空宇宙技術を披露した。

優勝したNYCU UAVチーム(好討厭的感覺啊)は、自律航行ドローンを組み込んだロケットで、発射地点への帰還ミッションを成功させた。この課題は大会で最も技術的に難易度が高く、機械工学の知見を生かした飛行制御やシステム統合が評価された。

NYCU UAVチームのロケット打ち上げの瞬間
(出典:いずれもNYCU)

デモンストレーションでは、NYCU宇宙システム工学研究所(iSSE)のSSTTチームが、着陸時の衝撃や漂流を抑える縮退式2段パラシュートシステムを搭載した機体を披露した。フォルモサン・フォックス・ロケットチームは、国際大会での使用経験を持つ改良型ロケット「ハーメス」を投入し、台湾の中央大学と共同開発した飛行中撮影装置、着脱式フィン、二酸化炭素分離モジュールを搭載した。これらの技術は台湾宇宙センター(TASA)が2025年末に予定する観測ロケット打ち上げで検証される見込みであり、2026年大会3km部門の技術要件の一端も示した。

今回出場した競技ロケットはすべて、総推力4700N·s、最大推力200kg、燃焼時間3.1秒の固体燃料推進システムを使用。高度約1kmに到達後、水上に着水して飛行データを取得した。機体設計は28.5kg以内とし、構造・アビオニクス・回収を含む全工程を学生が担当した。NYCUは競技者、技術検証者、共催機関としても関わり、宇宙工学教育と人材育成へのコミットメントを強調した。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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