台湾の中央研究院(Academia Sinica)は9月3日、ジェームズ・C・リャオ(James C. Liao)院長が尽力してきた台湾とフランスの学術交流促進や国際科学協力への貢献が、フランス政府に認められ、レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエの称号を授与されたと発表した。
コンドルセ・キャンパス学長のピエール=ポール・ザリオ(Pierre-Paul Zalio)教授がフランス側を代表してメダルを授与
(出典:Academia Sinica)
叙勲式は9月2日、台北の在台フランス大使公邸「レジデンス・ド・フランス」で行われ、勲章はフランス大統領科学顧問でコンドルセ・キャンパス学長のピエール=ポール・ザリオ(Pierre-Paul Zalio)教授から授与された。
レジオン・ドヌール勲章は1802年にナポレオンによって創設され、文化、科学、産業、公共サービスにおいて卓越した功績を挙げた個人に授与される。今回の受章は、同院長が中央研究院とフランスの研究機関間の交流を推進し、台湾を東アジアにおけるフランス研究の拠点として確立する上で果たした役割を反映している。
同院長はこれまでに複数回、研究者や職員を率いてフランスを訪問し、フランス国立科学研究センター(CNRS)、フランス社会科学高等研究院(EHESS)、コンドルセ・キャンパスといった主要機関と協力関係を築いた。2023年には中央研究院とEHESSが共同博士課程プログラムを開始し、これまでに9人の博士課程学生を台北に迎えている。同年には中央研究院が人文社会科学分野の書籍約400冊を寄贈し、コンドルセ・キャンパスに「台湾書籍セクション」を設置した。今回ザリオ教授から勲章が授与されたことは、こうした協力関係の象徴とされる。
さらに、中央研究院人文社会科学研究センターや歴史文献研究所は長年にわたり、フランス現代中国研究所(CEFC)やフランス国立極東学院(EFEO)を受け入れてきた。これによりフランスの研究者は台湾で継続的に研究活動を行うことができ、台湾はフランスの東アジア研究における拠点として位置付けられている。
同院長はまた、2018年に国際学術会議(ISC)理事会メンバーに選出され、任期中はパリ本部での会合に参加し、世界的な科学戦略の策定に寄与した。フランス政府による今回の表彰は、同院長の国際的な科学リーダーシップを認めるとともに、中央研究院が台湾・フランスの学術交流や国際科学協力において重要な役割を担っていることを示すものとなった。
サイエンスポータルアジアパシフィック編集部