AI人材育成プログラムを企業と共同で開始 台湾・陽明交通大学

台湾の陽明交通大学(NYCU)は9月23日、マイクロソフト台湾(Microsoft Taiwan)社およびファイソンエレクトロニクス(Phison Electronics)社と協力し、新卒者を対象とした人工知能(AI)人材育成プログラムを開始したと発表した。本プログラムは、台湾経済部の「AIライジングスターズ」事業の支援を受け、次世代AI人材の育成を目的としている。

NYCUはマイクロソフト台湾およびファイソンエレクトロニクスと提携し、AIトレーニングプログラムを開始。次世代AI人材育成への取り組みを示す
(出典:NYCU)

この取り組みは、過去4年間に卒業した学生(2022~2025年卒業生)を対象に、マイクロソフトのクラウド技術とファイソンのエッジAI技術を統合した教育カリキュラムを提供するものだ。受講者は、320時間の技術講習と300時間の応用プロジェクトを経て、ファイソンで4カ月間のインターンシップを実施する。また、修了者はマイクロソフトのAI-900やファイソンのシステムアーキテクト認定など、国際的に認知された資格試験を無償で受験できる。

NYCUAI事務局のチェンチャオ・ツェン(Chien-Chao Tseng)教授は「このプログラムはAI未経験者を対象に設計されており、基礎から応用まで段階的に学ぶことができます。実践的なスキルを身につけ、産業現場でAIを活用できる人材を育成することが目的です」と述べた。

NYCUのチーホン・リン(Chi-Hung Lin)学長は「これは単なる教育プログラムではなく、台湾のAI国家戦略の一環です。大学、グローバル企業、地元産業をつなぐことで、若手人材を台湾のAIエコシステムの原動力としたい」と語った。マイクロソフト台湾ゼネラルマネージャーのショーン・ピエン(Sean Pien)氏は、AI-900認定資格によって「学術と産業の間にあるギャップを埋めることができる」と述べた。ファイソンのK.S.プア(K.S. Pua) CEOは、自社の特許技術aiDAPTIV+を教育現場に導入し、「学生が現実の課題解決に取り組む機会を得ることで、教育と産業の双方に利益をもたらします」と語った。

今回のプログラムは、NYCUが提唱する「オープンループ大学」の理念にも基づく。これは高等教育を生涯学習の循環型モデルとして再構築する構想であり、学際的な学習機会を提供してきた。同大学は、理系以外の卒業生にも高度な技術教育を開放しており、本プログラムもその延長線上に位置づけられている。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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