科学観測ロケットの打ち上げに成功 台湾・陽明交通大学

台湾の陽明交通大学(NYCU)は10月20日、同大機械工学科(ME)と宇宙システム工学研究所(iSSE)が10月18日午前6時32分、屏東県旭海のロケット発射場から科学観測ロケットのアスファロス-2025(Asfaloth-2025)の打ち上げに成功したと発表した。

アスファロス-2025の打ち上げ成功は、学術用音速ロケット研究における新たな節目となった
Photo credit: TASA (出典:NYCU)

アスファロス2号として知られるこのミッションは、アスファロスロケットの2回目の飛行試験であり、2022年の施設開設以来、旭海で実施された10回目の科学ロケットの打ち上げとなる。このプロジェクトは、国家科学及技術委員会(NSTC)と台湾国家宇宙センター(TASA)の指導の下、実施された。

アスファロス-2025ミッションは、TASAが打ち上げの技術的な支援と安全監督を行い、NYCUの次の4チームが参画した。

  • ASARe(ズー・プアイエン・タン教授):体制・システム統合
  • MSCL(ツンリン・チェン教授):航空電子機器設計
  • ARRC(シシン・ウェイ教授):推進システム
  • ACES Lab(チャオシウン・ツェン教授):通信設計

ロケットのチーフアドバイザーを務めるズー・プアイエン・タン(Zu Puayen Tan)教授によると、アスファロス-2025は全長6.2メートル、直径26.5センチメートル、重さ198キログラムの単段式ロケットである。NYCUがハイブリッドエンジンとして独自に開発した「ファルコン・サーペント」を搭載し、最大推力940キログラム、燃焼時間12秒、トータルインパルス約6万8000ニュートン秒を発生し、26秒間の飛行で高度約2.8キロメートルに到達する。

台湾のこれまでのロケットミッションには、NYCUのHTTP-3A S2、アスファロート(1号機)、SSTO、成功大学(NCKU)の二段式ハイブリッドロケット、淡江大学の淡江1号、ジェシー、ポラリス、逢甲大学のSHSR-Aero 1・2号機がある。TASAは、この10回目のミッションの成功により、旭海ロケット発射場が台湾の主要な科学試験場として、全国の学術チームを支援していることを立証した。

台湾の研究コミュニティが観測ロケット、ペイロード、発射運用技術の進展をし続ける中、蓄積された経験は、NYCUがこの分野で最前線に立つための小型打ち上げロケット開発や航空宇宙人材育成、宇宙教育の強力な基盤を構築する。

サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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