アジアのチェンジメーカー:AIの責任ある利用を提唱 シンガポール「BasisAI」社のリュー氏

2021年6月15日 AsianScientist

BasisAI社のリュー・フェンユェン(Liu Feng-Yuan)CEOは、人工知能(AI)の責任ある利用を提唱し、企業がより良い意思決定を行えるよう支援している。

AsianScientist - AIは便利な検索方法の提案など、今日、私たちがソーシャルメディア上で行うほぼすべての行動を支えている。スマートフォンやインターネットのように確立した現代技術と同様、AIはほとんど意識しないレベルでどこにでも存在するようになっている。

FacebookやGoogleのような巨大企業にとって、AIは大量のデータから大規模な洞察を得るための比類なき機会を提供している。しかし、シリコンバレーの賑わいとは裏腹に、世界中の大小さまざまな企業が機械学習技術の導入に苦労している。

シンガポールを拠点として企業向けにカスタムメイドのAIソリューションを構築するBasisAI社のCEO兼共同設立者のリュー・フェンユェン氏は、「当社は、大手ハイテク企業以外でも、機械学習導入の機会が膨大にあるということを把握していました。多くの企業は、よりデータに基づいた自動化されたアプローチを望んでいますが、機械学習をビジネスに役立てるには多くの課題があります」と言う。

こうした問題のいくつかは、AIを適用できるアプリケーションが非常に多様であることに起因している。例えば、データサイエンティストとソフトウェアエンジニアによって、与えられた問題に対する最適な機械学習アプローチの方法やメンタルモデルが大きく異なることがあると、リュー氏は指摘する。実際に問題となるのは、機械学習モデルを実用化した後である。

特に中小企業では、インフラが整っていないため、機械学習モデルの導入後のパフォーマンスを追跡することができない。ブラックボックスのように、最初のデータと最終的な判断は見えても、その間のプロセスを可視化することができないのである。さらに厄介なことに、有害なバイアスが知らず知らずのうちにAIシステムに入り込んでしまうことがある。これは、企業がAI技術を十分に理解せずにAIの利用に踏み込んだ場合によく見られることである。

雇用や、さらには刑事事件の判決のような人生を左右する決定をAIが自動化するようになると、そのような偏見に満ちた「ブラックボックス」は大きな懸念を引き起こし始める。AIシステムは通常、既存のデータを使って訓練されるため、既存の社会的な偏見を受け継ぐ可能性がある。

「意思決定は現実世界に影響を与えるものであり、通常、意思決定は人間が主体的に行うものです。AIソフトウェアが意思決定を行った瞬間にその意思決定がどのように行われているのか、倫理的な方法で行われているのかという疑問が生じます」とリュー氏は説明する。

シリコンバレーで経験を積んだライナス・リー(Linus)氏とシルバナス・リー(Silvanus Lee)氏兄弟と協力し、リュー氏はこれらの一見バラバラな課題を一つのソリューションで解決しようとした。

BasisAI社は、独自の機械学習プラットフォームBedrockを開発した。このBedrockは企業が意思決定のためのAIを成功させ、責任を持って導入するための基盤を提供する。

言い換えれば、Bedrockはユーザーが最終的にAIのブラックボックスの中を覗くことを可能にする。実験を行い、使用されたモデルを説明することで、企業は偏りを減らし、特定のニーズに合わせてAIソリューションを拡張することができる。BasisAIは金融機関、政府機関、ハイテク企業、保険会社などを顧客としているが、Bedrockのアプリケーションは、動物保護のためのカスタムメイドのAIエンジンの開発にまで及んでいる。

リュー氏は「2019年の初めに、TemasekとSequoiaから800万シンガポールドル(約6億5000万円)のシード資金を確保し、2020年7月にBedrockを立ち上げるまでわずか2年間でしたが、本当に長い道のりを歩んできました。今こそ、事業の拡大、チームや製品の構築、そして地域や海外の企業に責任あるAIを提供するための取り組みを検討する時期に来ているのです」と話す。

BasisAI社が、利用しやすく責任あるAIをリードすることで、重要な意思決定が偏見や感情に左右されることなく、事実とデータに基づいて行われるような未来を実現したいと、リュー氏は考えている。

「私たちは、より明るい未来を選択する必要があります。それは、AIと機械学習の力を利用することで、誰にとっても世界がより良い場所になるような未来です」とリュー氏は語った。