アジアのチェンジメーカー:ロボット手術、リングドクターで活躍するチャン医師

2021年9月29日 AsianScientist

昼は整形外科医、夜はリングサイドドクター。整形外科の専門家であるアラン・チャン (Alan Cheung) 医師は、手術室からリングサイドまで、真のヘビー級である。

AsianScientist - 総合格闘技 (MMA) とはどのようなものかと聞くと、「血まみれ」「冷酷」「華麗」という答えが返ってくるかもしれない。その何でもありという性質と、ムエタイからカポエイラまでのスタイルが独特に混じりあっているMMAはブームになっている。2019年11月、アジア最大のMMAプロモーションであるワン・チャンピオンシップ (ONE Championship) があり、世界中で8500万人が100回目のライブイベントを視聴し、歴史が刻まれた。

ノックアウトは見事な決め技だが、MMAの選手たちは通常、アキレスロックや三角絞めなどの壊滅的な技を見せ、弱まった相手を徐々に屈服させる。それでも、ほとんど奇跡に近いが、これらの現代の戦士たちにとって回復は簡単なようであり、後日には戦う準備ができている。

ひいきのMMAファイターが最高の形に仕上がっているのは、アラン・チャン 医師をはじめとする医師たちのおかげである。チャン医師は、ワン・チャンピオンシップ・シンガポールの常駐リングサイド・ドクターとして、試合中に交された各打撃を追跡し、どのような治療が必要かを調べる。チャン医師は整形外科医の教育を受けており、骨折の治療から靭帯損傷の修復まで、1日ですべてを行うことができる。

チャン医師自身、MMAやブラジリアン柔術のトレーニングを定期的に行う熱心なスポーツマンでもあり、選手がよく直面する体への激しい負担をよく理解できる。実際のところ、彼が自身の天職に出合ったのは、若い頃にイギリスのケンブリッジ・ラグビー・クラブでプレーし、両肩を脱臼する大きな怪我をした後だった。この時、チャン医師はリハビリテーションのおかげで最終的に回復し、このことが整形外科を目指すきっかけとなった。

「好きなスポーツをあきらめるように言うことは、選手に対する最悪の発言です。私にはスポーツをしていた経験があるので、選手が怪我をしたときに何が起こっているのか理解することができ、スポーツへの復帰を助けることができます」(チャン医師)

チャン医師はアジア太平洋地域で最先端の整形外科の専門知識を提供するためにInternational Orthopedic Clinic (IOC)を設立したことでも知られている。チャン医師は現在、自身の競争心に従い、格闘技の先を見据え、ロボットに目を向けている。ロボット手術の認定を受けたアジアで数少ない外科医の1人として、彼はロボットが手術室に革命を起こす可能性を信じている。

「ロボット手術により、良い外科医はさらに良くなることができますが、悪い外科医については必ずしも良くなるとは限りません!」 とチャン医師は皮肉っぽく話す。

たとえば、関節を交換するには、特定の位置合わせと回転を守り、インプラントを正確に挿入しなければならない。手技のデリケートな性質を考えると、ロボットシステムは、チャン医師のような外科医であれば、損傷した骨を取り除き、インプラントをより正確に配置するのに役立つ。結果として、周囲の健康な骨と靭帯が手術中に触れることはなく、患者の回復が早くなり、ダウンタイムは短くなる。

現在、チャン医師のロボット手術システムには、MAKOPlasty、ROBODOC、NAVIOが用意されている。MAKOPlastyでは、関節のCTスキャンに基づいて必要な量の骨を取り除く際に、ロボットアームが医師を正確にアシストする。

ROBODOCは同じ原理を使用するが、このシステムのロボットは完全自律型であり、外部からの指図なしで骨をさっと取り去ることができる。NAVIOシステムでは術前のCTスキャンを省略し、その 代わり、独自のシステムによりロボットのハンドピースが骨を削る様子をリアルタイムで映像化することができる。

ロボット支援手術の進歩について、チャン医師は次のように語り、さらなるイノベーションの到来に期待を寄せる。

「未来は明るく見えます。私たちが生きているうちに、経験豊富な外科医同様、人工知能と機械学習アルゴリズムも手術の一部を計画し、実行できるようになると予測しています」