アジアのチェンジメーカー:中小企業のデジタル飛躍を支援するリム氏

2021年11月8日 AsianScientist

シンガポール情報通信メディア開発庁の次長であるジェーン・リム (Jane Lim) 氏は、同国の企業がデジタルジャーニーを開始するのに必要なツールを提供している。

AsianScientist - 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックからほぼ1年が経ち、世界のほとんどがニュー・ノーマルに慣れてきたようだ。国境制限と公衆衛生プロトコルはまだ実施中であるが、現在普及しているZoomやQRコードなどのデジタルツールにより、今まで通り生活を続けることができる。実際のところ、マッキンゼーは、COVID-19は少なくとも5年以上デジタル化を早めたと言っている。ただし、デジタル化は口で言うほど簡単ではない。

シンガポールのような発達したテクノロジー都市でさえ、一部の企業はデジタル化をためらっている。過去数年間に行われた年次調査によると、都市国家に拠点を置く中小企業(small and medium-sized enterprises:SMEs)は、コストが高いと考えているため、デジタル化に抵抗し続けている。ジェーン・リム (Jane Lim) 氏は、シンガポール情報通信メディア開発庁 (IMDA) のセクター改革グループの次長として、同国の企業が最終的にデジタル化を遂げるよう奨励する責任を負う。

「私たちは、最初のデジタル化を踏み出そうとしている中小企業であろうと、デジタルチャンピオンを目指している大企業であろうと、あらゆる規模の企業を支援します」とリム氏は説明する。

彼女のグループは特にSMEs に興味を持っているが、それには理由がある。シンガポールにおいて、SMEs は労働力の3分の2を雇用し、しかも国内総生産(GDP)のほぼ半分を占めている。しかしながら、リム氏が指摘する通り、このような企業の多くは専門のIT部門を持っていない。

IMDAのセクター改革グループのリム氏と仲間たちは、SMEs のデジタル化を推進しようとして、その名もSME GoDigitalという全国的なイニシアチブを展開。「SMEs が適切なデジタルソリューションを見つけられるように、私たちはステップ・バイ・ステップの指針を提供しています」(リム氏)

リム氏のチームは、デジタルソリューションを事前承認し、助成金を付与することによりソリューション採用のコストを抑えさせ、デジタルジャーニーのすべての段階でSMEs への継続的な支援を保証する。

現在、リム氏は5Gに注目している。3Gは外でのインターネット閲覧を可能にし、4Gはスマートフォンを普及させた。それと同様に、リム氏は5GがIoT(モノのインターネット)やバーチャルリアリティなどといった最新テクノロジーの新しい可能性を解き放つことにワクワクしている。

「シンガポールは、2025年までに本格的な5G機能を備えた2つの全国ネットワークを備える予定で。私たちは、企業がテクノロジーを商業的に利用できるように、活気に満ちた5Gエコシステムを開発しています。これによりイノベーションと雇用機会が増えるだけでなく、シンガポールは国際的なデジタル・メトロポリスという地位を得ます」(リム氏)

リム氏の日常業務はさまざまな分野におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するというものだが、その他、テクノロジーにおけるジェンダーの多様性も熱心に支援している。 シンガポールでは、テクノロジー業界に女性はあまり進出しておらず、女性の数は情報通信メディアの分野の役職のわずか30%を占めるに過ぎない。デジタル化によりテクノロジーブームが来ると予測されることから、リム氏はもっと多くの女性を人材のパイプラインに送り込みたいと熱望している。

これを達成するために、2019年に産業界、政府、コミュニティと協力して、才能のある女性をテクノロジー業界に引き付け、維持し、育成するためにシンガポール・ウーマン・イン・テックイニシアチブが開始された。テクノロジー業界で女性のパイオニアであるリム氏はシンガポールのデジタル経済の発展に貢献したことで、初めて作成されたシンガポール・テック・リストの女性100名に掲載された。

リム氏はIMDAに入庁してからわずか2年の短い期間で大きな影響を与えた。技術が急速に変化する真っただ中で、リム氏は、誰もがデジタル化した未来に居場所を確保できるようにすることを決意している。

「10年後、私たちの生活は大きく変わっているだろうと想像します。唯一変わらないことは、変化することです。私たちは機敏で、大胆で、好奇心を持ち、誰も取り残されないようにする必要があります」

リム氏はこのように締めくくった。

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