北欧企業の東南アジア進出を手助け...シンガポールのチェン氏

2022年02月18日 AsianScientist

ノルディック・イノベーション・ハウス・シンガポール(Nordic Innovation House Singapore)は、その広大なパートナーシップ・ネットワークを活用して、東南アジア市場に参入しようとする北欧の企業に力を貸している。

ジャクリーン・チェン(Jacqueline Chen) 氏

AsianScientist - スポティファイ、ノキア、ノボ ノルディスクなどの企業に共通するものは何か? これらはオープンイノベーションの考え方を取り入れており、業種は異なるものの、北欧最高のビジネス慣行の象徴となっている。

一例として、この地域は文化多様性とコミュニティ・エンゲージメントを重要視し、それがデジタル化の普及につながっていることが挙げられる。リサーチ会社Nordregioの調査によると、デジタルトランスフォーメーション(DX)のうちテクノロジーに関するものはわずか20%である。だが、デジタルアダプションは人と、人が変化を管理する方法を扱う。

北欧では農村部であっても、デジタルのノウハウに関しては欧州の他の都市よりもはるかに進んでいるところがある。たとえば、ユーロスタットのデータによると、欧州連合諸国の75%よりもノルウェーの農村部の方が優れたデジタルスキルを備えている。

ノルディック・イノベーション・ハウス・シンガポールは、シンガポールと東南アジア市場への参入を望んでいる北欧企業に価値あるビジネス情報を提供する。それと同時に、地元企業も革新的な北欧中小企業とのパートナーシップおよび知識交換を通じてメリットを得ることができる。この交換は、地域の取引と投資を促進する。

シンガポールを本拠とするノルディック・イノベーション・ハウスは、シンガポールのIPIと協力して北欧諸国と東南アジアの企業・イノベーターの間のギャップを埋め、オープンイノベーションを通じて問題を抱える者と問題を解決する者とをうまくマッチングさせる。

ノルディック・イノベーション・ハウス・シンガポールのコミュニティマネージャーであるジャクリーン・チェン 氏は、組織のイノベーション活動、IPIとのパートナーシップ、潜在的な協働者に求めるものについて詳しく教えてくれる。

1. ノルディック・イノベーション・ハウス・シンガポール は何をする会社でしょうか、また、主な特徴は何でしょうか?

当社は、北欧の高レベルなハイテク新興企業、スケールアップ企業、成長企業を支援するコミュニティプラットフォームです。強力なコミュニティとネットワークを使い、北欧の企業と適切なステークホルダーを結び付けます。

当社はスウェーデン、フィンランド、ノルウェー、アイスランド、デンマークという北欧5カ国のユニークなコラボレーションであり、ノルディック・イノベーションの支援を受けています。

シンガポールでは、北欧と東南アジアのイノベーターと企業をつなぐために、北欧貿易促進局と大使館の下部組織として活動しています。

業界パートナーや投資家へのアクセス、アドバイスサービス、市場参入プログラムを提供することで、東南アジアにおける北欧企業の足場の拡大を支援しています。

2. ノルディック・イノベーションのオープンイノベーションへの取り組みは、どのような特徴があるのでしょうか?

シンガポールと東南アジアで北欧のベストを広げます! 北欧諸国は、テクノロジー、持続可能性、ヘルスケア、スマートシティ開発の最前線にいるため、北欧貿易促進局や大使館との提携は、当社にとってオープンイノベーションを進める鍵なのです。

これにより、貴重なネットワークや各分野の専門知識を交換しあい、2つの地域間の新しい共同開発と協力を促進する北欧主導の活動を共同で作り上げることができます。当社は常に心を開き、パートナーシップと投資で協働すれば、北欧のハイテク企業に新しい市場機会を提供し、シンガポールを東南アジアの玄関口として活用できると信じています。

3. ノルディック・イノベーション・ハウスと協働することで、特に共同で作り上げたプログラムを通して北欧やシンガポールの企業が利益を得た例をいくつか教えてください。

当社は2020年、サーキュラーエコノミー、ヘルスケア、スマートシティに焦点を当てた市場参入プログラムの実施を開始しました。

2週間のプログラムを通して北欧企業はシンガポールのエコシステムを深く理解するようになり、プロブレムステートメントに取り組み、解決策を提示し、地元のステークホルダーと会うことができました。今まで3つの仮想市場参入プログラムを提供し、北欧のテクノロジー企業45社を、500以上の地元の政府・業界の専門家、学術機関、投資家と結びつけました。

プログラムごとに、STエンジニアリング、PUB、シンガポール総合病院(Singapore General Hospital)など北欧のハイテク企業との協力に前向きな主なステークホルダーと協働し、課題を解決しました。

また、企業や起業家コミュニティの構成を考えて北欧とシンガポールの活動を計画することにより、関係を保つ方法を探しています。

当社は2020年シンガポール国際エネルギー週間 (SIEW) に合わせて、北欧グリーン会議を主催しました。デンマークの気候大使、エコビジネスシンガポールやASEAN(東南アジア諸国連合)エネルギーセンター(インドネシア)の代表者などが参加し、地域エネルギーの可能性や資源管理コラボレーションについて話し合いました。

最近は、「シンガポールと北欧の循環廃棄物経済」についてSGイノベートとウェビナーを共同で開催し、循環経済の未来を確かなものにするために、廃棄物管理と解決策の現状について話し合いました。

4. どのような企業やパートナーと協働したいと思いますか?

北欧諸国とシンガポールは、持続可能性、ヘルスケア、スマートシティについて似た問題を多く共有しています。ノルディック・イノベーション・ハウス・シンガポールは、北欧のテクノロジー企業と新しい機会を共に作り、開発し、構築したいと強く望む企業や協力者と提携したいと考えています。

北欧のテクノロジーとデジタルソリューションは、シンガポールを拠点とする企業が、様々な分野の根本的な問題部分に対処しつつ、様々な業界で成長する手助けをしてくれます。また、当社は活動を共同で計画し、シンガポールと東南アジアを拠点とする政府機関、企業、ベンチャー投資家、販売業者の役に立とうとしています。

当社はコミュニティビルダーと協力し、オープンイノベーションへの挑戦や、北欧に関連する今後の産業イベントを促進したいと考えています。

5. 企業、特に地元の新興企業や中小企業は、どのようにしてノルディック・イノベーション・ハウス・シンガポールと関わり、協働を始めるのでしょう?

当社のプログラムやイベントについて知りたいと思う企業やイノベーターは、当社のウエブサイトにアクセスしてください。詳しいことを知りたければ、直接 sg@nordicinnovationhouse.com にメールを送っていただきたいと思います。その他、様々なSNSで当社をフォローすることができますし、月刊メールマガジンの購読申し込みをして最新情報を受け取ることもお勧めします!

6. ノルディック・イノベーション・ハウス・シンガポールと IPIのパートナーシップは、時間と共にどのように発展してきましたか?

最高です!IPIチームが当社のプログラムで見せてくれた多大な支援、心遣い、機会に感謝します。広範なネットワークがあるため、当社に選ばれた北欧企業は、イノベーションを披露し、1対1のビジネス会議を開き、シンガポールで適切なビジネスパートナーや試験的な機会を見つけることができました。

これは素晴らしい経験でした。IPIはシンガポールの起業家エコシステムを構築する上で重要な役割を果たしていると強く信じています。

また、2021年9月にTechInnovation 2021に参加し、当社と関係ある北欧の10社を扱う特別な北欧ショーケースセッションに関わることができたのは、とてもエキサイティングでした。今後とも、IPIと協働し、パートナーシップを結び、それが成功することを楽しみにしています。

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