スーパーWi-Fi技術でワイヤレス通信を最適化...シンガポールのオー・サー・ワー 氏

2022年03月09日 AsianScientist

シンガポールのWhizpace社は国内外でパートナーシップを開拓し、革新的なテレビ帯ホワイトスペース技術を使用してワイヤレス通信ネットワークを最適化し、高度な相互接続を持つ世界を作り上げる。

オー・サー・ワー (Oh Ser Wah) 氏

AsianScientist - ワイヤレスネットワークは世界で推定46億6千万人の積極的なインターネットユーザーにサービスを提供している。地理的国境を越えてデータを転送し、オンラインコミュニティをつなぎ続けている。これらのモバイルネットワークは、テレビやラジオ局、海上通信、航空ナビと共に、無線スペクトルの一定の周波数を使用している。これらすべては独自の周波数帯域を持ち、自家用車、バス、自転車を道路上の別々の車線に割り当てることなどを行う信号の重複を防いでいる。

しかし、インターネットトラフィックが増加し、デバイスが混在するようになると、ワイヤレスネットワークのスペースが不足し、信号が不安定になり、伝送は遅くなる。このスペクトル不足に対処するために、シンガポール科学技術研究庁 (A * STAR) のスピンオフであるWhizpace社は、スーパーWi-Fiテクノロジーとも呼ばれる革新的なテレビ帯ホワイトスペース (TV White Space:TVWS) を利用している。このテクノロジーは、放送チャネルが使用されないため残っているスペクトルの空の帯域を再利用することにより、長距離でも高いデータ伝送速度を持つ、安定したワイヤレスネットワークを提供する。

Whizpace社の創設者兼CEOであるオー・サー・ワー (Oh Ser Wah) 氏は、シンガポールのIPIとのインタビューで、オープンイノベーションとグローバルな協働により接続性の問題が解決され、より多くのユーザーが利用できるようになったことについて語る。

1. Whizpace社のコアコンピテンシー(Core Competency:中核技術)は何ですか?

私たちは、空いているTVスペクトルを無線通信用に動的に使用することにより、スペクトル不足の問題を解決します。私たちのスーパーWi-Fiテクノロジーは、長距離を伝送し、障害物を貫通します。そのため、コストを大幅に削減し、ワイヤレスネットワークの展開をスピードアップします。当機関のソリューションにより、遠隔地へのインターネットアクセスが可能になり、モノのインターネットのユーザーがセキュリティを強化した独自のプライベートネットワークを持つことができるようになります。

2. Whizpace社の歴史の中で、オープンイノベーションが正しい道であると確信したターニングポイントはありましたか?

10年以上前には、TVWSテクノロジーが機能するかどうかは誰も知りませんでした。そのため、米国の連邦通信委員会 (FCC) は、このテクノロジーの実行可能性を検証するための試験を実施することを決定しました。当機関は他の組織と一緒にこの試験に参加するよう招待されました。コーペティション、つまり競争相手同士の協力を行い、最終的には実りあるものでした。FCCは試験の結果に満足し、その年の後半に世界初のTVWS規制を作り出しました。

3. オープンイノベーションは今までWhizpace 社にどのような利益をもたらしましたか?

私たちは、自社にはすべてに取り組むだけの資源はないことを分かっています。そのため、私たちは高等教育機関 (IHL) 、集積回路設計会社、ソフトウェアの企業や製造業者など、多くのパートナーと協力してきました。これにより、世界最小のTVWSモジュールを製造したときは、製品開発を当機関でゼロから開始した場合に発生する費用と比べてごくわずかな費用で済みました。

4. Whizpace社ではオープンイノベーション文化をどのように奨励していますか?
オープンイノベーションは、機関が増加するグローバルな機会を捉えるにあたりどのように役立ちましたか?

私たちのコアバリューの1つは、チームワークです。それは、成功をもたらすにはチームが必要であると信じているためです。社内チームだけでなく、A * STARや海外のパートナーの研究者とも協力し、彼らの専門知識を活用してより良いソリューションを創造しています。イスラエルとオランダの企業との共同プロジェクトにより、ヨーロッパでの門戸が開かれ、その後、アジアでの機会に結びつきました。このようなパートナーシップは、製品開発にとどまらず、ビジネス開発にもつながっています。

5. 海外のパートナーとオープンイノベーションに取り組む過程でどのような教訓を学びましたか?

海外のパートナーと仕事をする場合、文化、働き方、タイムゾーンの違いは避けられません。効率的な協働を確保するために、会議時間を調整し、パートナーに対する理解を高めることを学びました。さらに、多様な文化、スタイル、見解に触れることで、さまざまな視点から物事を見ることができ、これまで考えていなかった新しいアイデアが生まれました。これらの海外との協働を通じて、当機関はオンライン会議の実施に慣れ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックでは在宅勤務の手配に適応することができました。

6. IPI はWhizpace社のオープンイノベーションのプロセスをどのように強化しましたか?

IPIは私たちのイノベーションのプロセスをとても支援してくれました。私たちのテクノロジーは IPIのイノベーション・マーケットプレイスで公開されています。当機関のソリューションに関する問い合わせにつながり、国内外の潜在的な顧客やパートナーの関心を惹いています。さらに、IPIは幅広いネットワークを持つため、オランダのパートナーとのEUREKAプロジェクトなど、海外との協働の確保にも役立っています。

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