上場前にITシステムの強化を助言...シンガポールのパッドフィールド氏

AsianScientist - シンガポールのIPIイノベーション・アドバイザーのビル・パッドフィールド (Bill Padfield) 氏は大手テクノロジー企業の成長促進の助言等で40年のキャリアを持ち、上場を予定している中小企業 (Small and Medium Enterprise:SME) にも豊富な知識を提供する。

利益を上げている会社であれば、その歴史の中のある時点で、上場という問題が浮かび上がることだろう。おそらく、会社のリーダーは、市場機会が間近に迫っていること、考える通りの成長を実現するにあたり必要な資金を調達する必要性を感じている。さらに、新規株式公開 (IPO) を行うことは、会社に対する一般大衆の認識を高め、市場シェアを拡大するのに役立つ優れた方法でもある。

上場前の企業のほとんどは、細かいことに気を配る。例えば考慮すべき指標は何か、すべての規制要件を満たしていることを確認するなどである。無視してはならない重要な考慮事項の1つは、基盤となるIT システムの強さである。以上は 経験豊富な技術専門家であり、IPIイノベーション・アドバイザーであるパッドフィールド 氏の言葉である。

成長に備える

パッドフィールド氏は、IPOへの道のりは長く複雑なものであり、SMEは上場の準備が整う前に、管理、技術、戦略など、あらゆる面でレベルアップする必要があると語る。彼は宇宙分野の新興企業 Transcelestial社の役員であり、NTTベンチャーキャピタルとウェーブメーカー・パートナー・ベンチャーキャピタルの顧問でもある。

「経営陣からの情報に関する要求と会社のあらゆる部門に関する要求は、かつてないものになるでしょう」とパッドフィールド氏は言う。

同氏は、全体的な生産性を向上させるだけでなく、堅牢なITシステムを実装すれば、会社は業務に関する重要な洞察力を得ることができる、と付け加えた。そうすれば、事業の最も重要な側面を評価するのに役立ち、財務報告書の作成は容易になる。

多くの場合、財務報告書の作成過程や売買サイクルの自動化など注意が必要な部分がかなり存在する。これは地雷原であり、経験の浅い企業は注意深く進めていかなければならない。

IPOの前に完全な形にできる企業は存在しないものの、ITプラットフォームその他のプロセスを最新化するために資金が集められることは多い。重要なのは、企業が取り組む優先分野を理解し、資源を割り当ることであるという。

「これらの優先事項は、効率的なスケールアップ、優れたガバナンスの報告と維持、コンプライアンスの維持、リスク管理を支援することに焦点を当てるべきです」(パッドフィールド氏)

アライアント・コンピュータやNTTなどのテクノロジー企業を40年以上指導してきた経験を持つパッドフィールド氏はIPOと民営化に関わってきた。その専門知識を使い、SMEが困難なIPOプロセスを超えて、市場で手ごわい競争相手になるのを支援している。

潜在的な落とし穴

企業はIT開発を活用してプロセスを改善し、自動化することで 競合他社との差別化を行える。しかし、イノベーションという長い過程の中で、SMEは、非効率性が増加し、競争上の優位性を維持できないなどの困難に直面することがあるとパッドフィールド氏は警告する。

企業の業務が拡大すると、不正確な財務報告書や非効率的な人的資源管理から、不十分な生産自動化や不適切な研究革新プロセスまで、以前は隠れていた問題が現れ始める。

パットフィールド氏は最新のイノベーションと現場のベストプラクティスを正確に把握しているので、成長を目指すSMEが非効率という壁にぶち当たった時、よい指導をしてくれる。

さらに、企業は、テクノロジーを活用してプロセスを常に改善することに力を注いでも、競合他社も同じ取り組みをしていることを肝に銘じておかなければならない。パッドフィールド氏は、技術的に先を行くためには、常に自動化に注意を向けることが重要だと力説した。

彼は、モノのインターネット (IoT)の採用、ロボティック・プロセス・オートメーション (RPA) 、クラウドへの移行、より効率的なアプリケーションとするための書き直し、クライアントと内部アプリケーションをコンピューターではなくスマートフォンから実行できるようにするなど、いくつかのオプションを提示する。

「自動化とITを利用して機敏になれば、企業は、クライアントが本当に望んでいる商品やサービスを競合他社よりも早く提供でき、競合他社を出し抜いたり逆転したりできます」とパットフィールド氏は説明する。

人、プロセス、ツール

パットフィールド氏は、技術革新と自動化は企業の前進に役立つが、特に大規模な企業になると実装のプロセスは必ずしも簡単ではない。しかし、経営陣が強力であれば、すべてはうまくいく、という。

同氏の直近のグローバルな活躍の例として、NTTで取締役を務めたことが挙げられる。また、グローバルコンサルティング管理サポートと技術サービスの責任者を務めた。彼はテクノロジー、デジタル統合、運用について助言し、事業のために4万人の才能ある人材を教育した。

「特に適切な人材を配置することは経営陣にとって大切です。経営陣が異なれば、同じ人材を別の部署に配属するかもしれません」

ITが加わるとプロセスとツールは変化するので、経営陣は変化と再研修に前向きであることも不可欠であると彼は付け加えた。組織全体で従業員の技術的能力をレベルアップすることにより、苦労して効率化したプロセスを十分に活用し、効果的にスケールアップすることができる。

ディメンションデータ・アジア太平洋のCEOとして、そして後にはグループのグローバルCOOとして、パッドフィールド氏は会社の歴史の中で最大の変革プログラムのいくつかを率い、最も成長の顕著な地域で事業を運営してきた。変化をリードするという直接的な経験を持つパッドフィールド氏は、SMEがプロセスと人材を改善しようとしているときにSMEを導くことができる。

◇ あなたの会社がIPOの準備中であり、成長を支えてくれる適切なイノベーションを導入しようとしていならば、IPIのイノベーション・アドバイザー・プログラム(INNOVATION ADVISORS PROGRAMME:下欄参照)をチェックして、パッドフィールド氏のような経験豊富なベテランを活用する方法を見つけるとよいだろう。

(2022年03月18日公開)

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