抗菌技術で病原体と戦う...シンガポール「環境に優しい植物由来の化合物」開発

AsianScientist - 医療施設は感染拡大の影響を受けやすいが、有害な微生物の危険性を一掃する抗菌技術が開発されている。

患者が診療所、救急治療室、あるいはほかの医療施設を訪れるときは、既存症に質の高い医療を提供するだけでなく、感染症などの新たな懸念を防いでくれる医療従事者をいつも信頼している。

ただし、感染を防ぐことは簡単なことではない。ドアの取っ手からエレベーターのボタン、さらにはペンまで、医療施設には患者が接触する可能性のある表面が多くあり、細菌、真菌、ウイルスなどの危険な微生物が存在し、拡散させる可能性がある。

基本は不特定多数の人が触れやすい表面を清潔に保つことだが、抗菌技術が出現したことにより、医療関連の感染を防ぎ、抗菌耐性を低下させる方法は変わった。

効果的な保護を得る

抗菌技術は表面の病原体にマイナスの影響を与えることによって働くが、その方法は数限りなくある。微生物を取り除く1つの方法は、微生物を生存させる細胞壁を破壊することである。抗菌技術は微生物の膜に損傷を与え、構造的な障害を引き起こし、有害な細菌を殺すことができる。

一部の抗菌技術は、必須タンパク質に損傷を与えたり、酸素レベルを上げたり、微生物の遺伝子構成を破壊したりすることで機能する。このように抗菌剤は多用性を持つため、繊維、プラスチック、医療機器、塗料、コーティング、さらには食品防腐剤などといったさまざまな製品に適用できる。

使用する抗菌剤の種類を選択するには、広範囲にわたる検討をして、最も効果的な保護とする必要がある。それは標的となる病原体を殺すのか、それとも単に阻害するのか?外部因子による活性化が必要か?どこで使用するのか?その使用を禁止する法規制はあるのか?

銀、酸化亜鉛、金などの金属ナノ粒子からフラボノイドや有機酸などの植物由来の材料まで、抗菌技術は、病気や感染を引き起こす可能性のあるさまざまな有害微生物から保護することができる。

もっと環境に優しい抗菌剤

たとえば、日本のあるテクノロジー商品は、ドアハンドル、手すり、エレベーターのボタンなど、多くの人が触れるものに使うために開発され、抗ウイルス材料である酸化銅 (I) と光活性化触媒を含んでいる。

この技術は、ウイルスやバクテリアの特定の菌株を1時間以内に不活化することが証明されており、照明の有無にかかわらず、屋内で機能する。さらに、使用する材料の濃度を希望する性能レベルに調整することができ、材料自体は1年以上有効性を保ち続ける。

人間の抗生物質耐性と同様に、微生物も従来の抗菌化合物の多用を原因として、抗菌耐性を発現することがある。この世界で増え続ける問題に取り組むために、シンガポールの研究者たちは「もっと環境に優しいソリューション」に注目した。

植物由来の化合物のいくつかは、光があれば酸素種を生成するように作ることができる。すると酸素種は入り込んでくる微生物を殺す。

この抗菌剤は天然由来で、環境に優しく、持続可能な安定した形態を持ち、プラスチックやコンクリート、繊維染料、パーソナルケア製品のコーティング剤に加えることができる。

最後になるが、一部の医療機器には、表面特性の低い材料が含まれているため病原体の増殖が促進され、患者の感染リスクが高まる。人体に毒性のない材料で作られた生体適合性デバイスはこのような問題に対処できるが、使用条件は限られる。

この問題を解決するために、オランダで開発されたある技術は、金属やプラスチックを使った医療機器、コンタクトレンズ、カテーテル、細胞培養プラットフォームなど、さまざまな製品に適用可能な、生物にヒントを得た特殊コーティングを利用している。

これは親水性コーティングであり、医療機器の表面を簡単に変更でき、自己修復も可能で、快適性、安全性、性能を向上させる。

医療関連感染のリスクとそのリスクが患者に与える影響を軽減するために、医療施設にとって予防を行い、患者をさらに保護することが、これまで以上に重要になっている。

現代の技術が進歩するにつれて、効果的かつ効率的な抗菌技術は、他の予防策と組み合わせて、これらの危険のリスクを減らし、患者の信頼を高めることができる

(2022年05月27日公開)

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