深層ニューラルネットワーク(DNN)を使用...アカエイ型ロボットが水中で優雅に遊泳

AsianScientist - シンガポールの研究者たちは、深層機械学習を使用して水中を効果的に移動するソフトロボットをトレーニングしている。

ワシは大空を雄大に飛行し、トンボは池の上で上手に空中停止し、アカエイは深海で優雅に泳ぐ。このように、自然は巧みな工作を作り出し、その見事さは現代のロボット工学に刺激を与えている。世界中の研究者が、特定の環境での動物の自然な動きを正確に模倣して、生体模倣ロボットを作成している。IEEE Robotics and Automation Letters誌の発表によると、シンガポール工科大学 (SUTD) の研究者たちは深層機械学習の一種を使用して、アカエイ型ソフトロボットに効率的かつ正確な動きを教え、ロボットが水中で優雅に泳げるようにした。

ロボットに複雑な動きを教えることは容易ではない。ソフトロボットとなると、さらに困難となる。剛体リンクを持つため動きを簡単に予測できる従来の機械式ロボットとは異なり、ソフトロボットは、可動範囲が広く、シリコンなどの柔らかい素材を使用しているため、動きはダイナミックなものになる。つまり、ソフトロボットの正確な動きを予測することは難しい。この問題に取り組むために、SUTDのパブロ・バルディビア・イ・アルバラド (Pablo Valdivia y Alvarado) 博士と彼のチームは、深層ニューラルネットワーク (DNN) を使用した。 同博士は、SUTDの助教授である。

DNNは複雑性が入り組んだ形式の機械学習であり、一連の入力から情報のパターンを検出し認識することによって、脳が意思決定を行う方法を模倣する。次に、以前学習したデータに基づいて予測出力を生成する。この研究ではDNNを使用して、柔らかいアカエイ型ロボットに、水槽内で自分自身を推進させ、その柔らかいヒレを水中で動かす最も効率的で効果的な方法を決定するように教えた。

なぜロボットをアカエイの形にするのか?同博士は Asian Scientist 誌のインタビューの中で、これは「比較的シンプルで合理化されたボディを持つために達成できる高い機動性」によるものだと説明している。ロボットは、上下、左右、前後など、複数の軸に沿って回転できるという。

チームは、ソフトロボットを3Dプリントで作ったクランプに取り付けて実験を行った。クランプには、水中でのヒレのねじれとその後の動きを測定するために、6軸の力/トルクセンサーが備えつけられていた。ソフトロボットがヒレを動かすと、センサーによって測定された力とトルクの量が記録される。これを10回繰り返して、100個のロボット入力から100個の力/トルクデータセットを生成し、DNNの学習が開始された。

迅速で効果的な動きに最も適している力とトルクの値を調べるために、DNNにこのデータセットを入力した。そして、新しい力/トルクデータのセットからヒレの動きを予測して、以前に学習したヒレの動きをうまく模倣できるかどうかを確認するようDNNに指示を出した。

新しいデータセットを入力したところ、結果は有望なものであった。ソフトロボットは、実験の開始時に与えられた最初の入力と非常に類似した一連の入力を正確に模倣することができた。また、ロボットは比較的短時間でこれを達成した。研究者たちは、この研究が、刻々と変化する海洋の状況に迅速に適応する海洋探査機の開発・訓練への足がかりとなると期待している。

次のステップについて「これらのモデルを使用して、自由に泳ぐソフトロボットのリアルタイムの閉ループ制御を行い、[水中]に関する複雑な動きを予測するのにどれほど効果的かを実際に理解することです」と同博士は話している。

(2022年07月05日公開)

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