AsianScientist - シンガポール国立大学(NUS)の研究者たちは、パイナップルの葉から作られた繊維カプセルは脂肪の吸収に効果的であることを発見した。
「脂肪燃焼!減量!」...ダイエット製品、特に劇的に働くというファットバーナー(fat burner)の広告は毎日嫌になるほど目にする。メーカーは、ファットバーナーを使用すると脂肪の吸収が減り、減量が促進されるとアピールする。
しかし、その製品は本当に効果的なのか?という疑問が湧く。シンガポール国立大学 (NUS) の学際チームはパイナップルの葉から科学的に証明された脂肪吸収カプセルを開発し、その調査結果が最近の NUSNews 誌で発表された。
世界の肥満率は過去50年間で3倍になった。座ることの多い生活習慣と高脂肪の食事により、この傾向は増加している。脂肪の過剰摂取はコレステロール値を高くし、高血圧、心臓発作、がんなど望ましくない症状を引き起こす可能性を高めるため、これは問題である。
警戒すべき数値がある。シンガポール居住者のうち、18歳から74歳までの人々の35.5%が高血圧症であり、39.1%が高コレステロール血症である。脂肪を過剰に摂取すると生活の質(QOL)は下がり、国の医療制度に大きな負担をかける。
そのため、多くの人が問題を何とかしようとしてファットバーナーを利用するのだろう。しかし、現在、市販されているファットバーナーが持つ減量促進効果は科学的証拠に裏付けられているものではない。さらに、ファットバーナーは高価であり、化学添加物を含んでいる。これらの添加物について、実際の有効性や、高心拍数や吐き気などの潜在的な副作用について詳細に調べた研究は今のところない。
一方、パイナップルの葉は天然の脂肪吸収剤である。市販のファットバーナーとして使用されれば、農業廃棄物を減らすと同時に、人々は安全かつ効果的に減量することができる。NUS設計工学部機械工学科の研究チームのリーダーであるドゥオン・ハイ・ミン(Duong Hai-Minh) 准教授は「私たちは、脂肪吸収するパイナップルの葉の繊維の優れた機械的特性を利用しました」と述べる。
ここで、今まで廃棄されていたパイナップルの葉を再利用した、世界初のカプセルの登場である。パイナップルの葉の繊維をアップサイクリングして、カプセルという摂取可能な形にした。天然繊維に含まれるセルロースは、脂肪(飽和脂肪でも不飽和脂肪でも、どんな脂肪でもいい!)を吸収すると、脂肪に包まれた繊維の塊を形成する。人体は繊維を消化することができず、カプセルは消化管を通過して数日で排泄される。
実験室で試験を行ったところ、有望な結果がもたらされた。NUSのチームが腸の酸性状態をシミュレートした試験を行ったところ、1グラムのカプセルが最大65グラムの調理された脂肪と人間の体内の脂肪を吸収できることを発見した。費用はわずかなものであり、一石二鳥である!「ハンバーガー1個分の飽和脂肪を吸収するのに必要なパイナップルの葉の繊維カプセルの数は、1つよりも少ないのです」と付け加えた。
この革新的な発見をサトウキビやコーヒーのかすなどのさまざまなセルロース繊維に利用すれば、他のファットバーナーの開発につながり、世界中の肥満を減らすのに役立つであろう。チームは現在、この新しい応用技術の特許を取得しようとしており、関連のパートナーたちと協力して上市を目指している。
(2022年07月11日公開)