果物を1日に少なくとも3回食べた参加者は、加齢に伴ううつ病の可能性を21パーセント減らすことができた。(2024年9月18日公開)
1日に1個以上のリンゴを食べると、実際に老後のうつ病を予防できるかもしれない。Journal of Nutrition, Health and Aging誌に発表されたシンガポール国立大学 (NUS) の新しい研究は、アジア人は若い頃に多くの果物を摂取すると、加齢に伴ううつ病を患う確率が減る可能性を示した。
加齢により他の慢性疾患や認知機能の低下が現れることは多く、うつ病の重症度を悪化させる可能性もある。世界の人々が急速に高齢化する中、高齢者の健康をサポートする必要性が高まっている。研究者たちは、人生の早い段階で現実的に変えることができて老後の精神的健康を守れる行動について模索してきた。
一般的な戦略の1つは、多くの野菜や果物を食事に取り入れることである。野菜や果物には、ビタミンC、カロテノイド、フラボノイドなどの抗酸化物質や抗炎症性微量栄養素が含まれており、うつ病の発症リスクを高める酸化ストレスと炎症を軽減するのに有効である。しかし、これを裏付ける既存の疫学的エビデンスは矛盾しており、主に西洋人を対象としている。
この問題に取り組むため、今回の研究では、Singapore Chinese Health Study (シンガポール中国系住民健康研究) の参加者13,738人のデータを調べた。この研究は、約20年にわたって中年から老年期までの人々を追跡調査した。研究者たちは、研究開始時に記録された14種類の果物と25種類の野菜の毎日の摂取の影響を調べた。平均19.6年の追跡調査の後、チームは老年期うつ病評価尺度を使用して参加者のメンタルヘルスを評価したところ、3,180人が5以上のうつ病症状を示していた。
まず病歴、喫煙状況、身体活動レベル、睡眠時間など、うつ病に影響を与える可能性のある他の要因を調整した後で初めて分析が行われた。
NUS医学部の教授で主任研究者であるウーン・プアイ・コー (Woon-Puay Koh) 教授は「私たちの研究対象集団の中で、1日に少なくとも3回果物を食べた参加者は、1日1回分未満の参加者と比較して、加齢に伴ううつ病の可能性を有意に21%以上減らすことができました」と述べた。「私たちの研究は、加齢に伴ううつ病の予防策となる果物摂取の重要性を強く裏付けています」
コー教授は、メンタルヘルスの利点はグリセミック指数の低い果物にも高い果物にも当てはまるため、糖尿病患者は糖分の少ない果物を選べばよいとも述べた。
一方、野菜の摂取とうつ病リスクとの関連は見られなかった。チームは、果物は一般的に間食として生で食べられるが、野菜は加熱調理されることが関係しているかもしれないという。調理の熱によって野菜に含まれる栄養素の生物学的利用能と活性が変化し、うつ病に対する保護効果が制限される可能性がある。
中年期の果物と野菜の摂取とその後の人生でうつ病を発症する可能性との関連を探るアジア最大の人口ベースの研究として、これらの結果は一般の人々が果物にアクセスしやすくするための公教育と取り組みに大きな意味を持つ。
今後、コー教授のチームは、年齢を重ねても精神的な健康を維持できる果物の具体的な微量栄養素とそのメカニズムを詳しく調べる予定である。