第14回グローバル・ヤング・サイエンティスト・サミット(GYSS) が開催された。若手研究者と著名な講演者が集い、今日の研究の方向性を探る有意義な議論が交わされた。(2026年3月13日公開)

何世紀にもわたる地政学的変化と技術進歩を経てほぼすべての科学研究分野を着実に発展させてきたのは対話・協働・好奇心である。生成AIの時代となり、国際関係が複雑化しても、これらは科学の柱であり、若手研究者にとっての北極星であることに変わりはない。
シンガポール国立大学の副学長(学務担当)であり学寮長でもあるアーロン・テアン (Aaron Thean) 教授は、グローバル・ヤング・サイエンティスト・サミット2026の開会式で「我々は、アイデアを交換し、新たなパートナーシップを築くために、知識の探求に情熱を燃やす人々のコミュニティを集めました」と述べた。「これは私たちの未来を形作るために必要なことです」
シンガポール国立研究財団 (NRF) が主催する第14回GYSSに参加するために、57か国の約350人の若手研究者がシンガポールに集まった。若い参加者たちは、ACM 賞、フィールズ賞、ミレニアム技術賞、ストックホルム水賞、チューリング賞、ノーベル賞受賞者など 21 人の著名な講演者の話を聞き、交流する機会を持った。
今年のGYSSは、シンガポールの最新のSTEM資金援助を得て開催される。開会式では、NRFの会長であるヘン・スイキャット (Heng Swee Keat) 氏が「研究・イノベーション・企業 (RIE) 2030」計画を発表した。シンガポールは、国内総生産の約1%にあたる370億シンガポールドルを、研究力を高め人材を育成する費用としている。
ヘン氏は、人工知能 (AI)、量子コンピューティング、そして学際的研究などが科学の未来を形作ると考えられる研究の主要な傾向であると述べた。RIE2030が重要視しているのは、まさにこれらの分野である。AI、データ・コンピューティング、再生可能エネルギーにおけるシンガポールの能力を強化し、国の人材プールと基礎研究能力の構築を目指す5か年戦略のために予算が充てられている。
「これは、研究は長い期間を必要とし、多くの場合は予測不可能であるという性質を持ち、パラダイムシフトを起こすイノベーションを開発するには画期的な研究が大きな役割を担うことを認識しているためです」とヘン氏は語る。
GYSS 2026では、基調講演、パネルディスカッション、炉辺談話、気軽な会話が、これらの内容を反映していた。開会の基調講演では、2024年ノーベル化学賞受賞者のデイビッド・ベイカー (David Baker) 教授が、AI画像生成技術を活用して独自の特性を持つ新しいタンパク質を設計するまでの学際的研究の軌跡を参加者に語った。
「地政学からゲノミクスへ:多極化世界における一致した思考」と題したパネルディスカッションで、パネリストたちは、複雑な政治的緊張の中で研究者が国境を越え優れた共同科学研究を推進する方法について話し合った。
2013年ノーベル生理学・医学賞受賞者のランディ・シェクマン (Randy Schekman) 教授は「情報は常に自由に流れています」と述べる。「各国の学生が集まるこのような会議は、大きな誇りと科学の進歩の源なのです」
新興技術をテーマとしたパネルディスカッションである「脳とバイト:生成AI時代の研究のレベルアップ」では、研究におけるAIの可能性と注意点に関する議論が行われた。パネリストたちは、AIは倫理的かつ責任ある形で開発され、応用されなければならないと強く語った。
講演者たちはまた、AIは研究の特定の分野の進展を早めることができるかもしれないが、学生を教育し、彼らの視点を考慮しなければならないと指摘した。
コンスタンチン・ノボセロフ (Konstantin Novoselov) 教授は「発見は、学生や教授がミスを犯してしまったり、あるいは長い間専門家が扱わなかった問題について、学生がその分野の知識が不十分であるため質問をしたことから実現することが多いのです」と語る。「どの分野であっても、こうした新鮮な視点は非常に重要であり、学生が教授に質問することは科学の原動力の一つです」