【AsianScientist】 涼しすぎて関心低下? エアコンが気候対策への支持を弱める

涼しさを保つためにエアコンに頼るほど、都市を冷やし、エネルギー使用を減らすためのより広い取り組みを支持しにくくなることが研究で分かった。(2026年8月7日公開)

地球の気温が上昇する中、エアコンは人々を極端な暑さから守るために不可欠になっている。しかし新たな研究により、都市では、個人による冷房への広範な依存が逆説的な状況を生んでいる可能性が示された。つまり、家庭内を効果的に涼しくするほど、都市を涼しくするために必要なより広範な気候対策への切迫感が薄れるというのである。

シンガポール工科デザイン大学(SUTD)とシンガポールETHセンター(SEC)の研究者らが主導したこの研究では、エアコンに大きく依存する世帯ほど、省エネ行動を取り入れたり、地域全体の暑熱緩和策を支持したりする可能性が低いことが分かった。学術誌『Sustainable Cities and Society』に掲載された研究結果は、この現象を「行動上の断熱」と表現している。効果的な屋内冷房により、集団的行動を通じて暑さに対処する必要性の認識が弱まるというものだ。

この研究は、都市住民が気候リスクをどのように認識し、対応するかを調べる複数機関による共同研究「Climate Resilient Citizenry」プロジェクトの一環である。

論文によると、シンガポールはこの研究にとって理想的な環境を提供していた。高密度で熱帯に位置し、高度に都市化され、エアコンが広く普及している同国は、アジアで急速に温暖化する多くの都市が近く直面する可能性のある課題を先取りして示している。

暑さへの意識は、必ずしも行動を変えるとは限らない

人々が気温上昇にどう反応するかを探るため、研究者らはシンガポールの416世帯967人の成人を対象とした調査回答を、空間的な暑熱指標や家庭の電力消費記録と併せて分析した。

結果からは明確な隔たりが浮かび上がった。暑さの影響をより強く感じている人ほど、気候問題について話し合い、他者に行動を促す傾向があった。しかし、それが家庭のエネルギー使用量の削減につながることはまれだった。エアコンに最も依存している人ほど電力消費量が多く、省エネ行動を取り入れる可能性は低かった。

「重要な知見の一つは、暑さを経験することが、低エネルギーの行動やより強い集団的気候行動に自動的につながるわけではないという点です」と、筆頭著者でSECのポスドク研究員であるナタリア・ボルジノ(Natalia Borzino)博士は述べた。「人々は気候への意識を高め、暑さについてより声を上げるようになる一方で、日常生活を管理するためにエネルギーを多く使う冷房に依存し続ける可能性があります」

研究者らはまた、エアコンを多用する人は、自宅を涼しく保つためにより多くの費用をかけているにもかかわらず、都市の緑化拡大、樹冠被覆率の向上、近隣の日陰づくりの改善といった公共の暑熱緩和策への支持が低いことも確認した。

エアコンを超えて

研究者らによると、今回の知見は、個人の無関心よりも構造的な問題を示している。広く普及した個人向け冷房が、集団的な気候行動への支持と関連する行動条件を徐々に弱めている可能性があるという変化だ。

「暑さは単なる気温の問題ではありません。行動と都市計画の問題でもあります」と、SUTDのLKYCIC都市心理学研究室長であるサミュエル・チャン(Samuel Chng)研究助教は述べた。「都市が個人の冷房に過度に依存すれば、エネルギー需要の増加を固定化する一方で、より広範な都市の暑熱対策に必要な集団的支持を弱めるリスクがあります」

研究者らは、冷房は快適性、健康、ウェルビーイングに不可欠であるため、エアコンに反対しているわけではないと述べている。むしろ、屋外の温度そのものを下げるため、日陰の創出、緑化、換気の改善、反射性の高い建材、気候に配慮した計画などの都市設計戦略で冷房を補完すべきだと主張している。

「都市にとっての課題は、個人の適応と集団的なレジリエンスが互いに反対方向へ進むのではなく、互いを強め合うシステムを設計することです」と、Climate Resilient Citizenryプロジェクトの主任研究代表者でプロフェッソリアル・リサーチ・フェローのハーヴェイ・ネオ(Harvey Neo)博士は述べた。

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